コロナ後の日本経済と株価

2020年10-12月期のGDP改定値は前期比年率11.7%と速報値の12.7%から下方修正となった。内訳項目別の前期比寄与度を見てみると、在庫の減少とエネルギー価格上昇による輸入の増加がGDPを下押しする一方、民間消費支出と企業設備、輸出が伸びており、決して悪い内容ではない(表1参照)。

表1.日本の10-12月期実質GDP成長率のなかで寄与度の大きい項目

民間消費支出 民間企業設備 民間在庫変動 公的需要 輸出 輸入

寄与度 1.2% 0.7% ▲0.6% 0.5% 1.6% ▲0.7%

10-12月期 2.2% 4.3% ― 1.7% 12.8% 4.0%

7-9月期 5.1% ▲2.4% ― 2.5% 11.0% ▲8.2%

続いて、コロナ後に向けてGDP成長のカギを握る消費と生産の推移を予想してみる。図1は直近2年間の日本のGDP推移と世帯当たりの実質消費支出、鉱工業生産(前年比)および景気ウォッチャー調査(先行き判断DI)の推移を示したもの。これを見ると10-12月期GDP成長率は前年比で▲1.4%とコロナ禍前の水準に接近、1月の鉱工業生産も同▲2.1%と上昇基調だが、1月の消費支出は同▲6.1%と直近下落した。市場ではコロナ感染再拡大と緊急事態宣言の再発令を受け消費活動が再び低迷、1-3月期GDPを下押しすると予想されているが、先行性のある景気ウォッチャー調査(先行き判断DI)は足元2月には上昇に転じている。コロナ禍の下で積み上がった家計貯蓄を考慮に入れると、今後消費に火が点く可能性もあろう。最高値を更新する米国株や円安基調の為替に加えて、予想以上のGDP成長率が確認できれば日本株が再び上昇基調となるかもしれない。

図2は、景気回復において日本に先行する米国株(NADAQ指数)と輸出産業の業績に影響する為替レート(円/ドル)の動きをもとに、以前当欄で紹介した回帰分析で求めた過去20年間の日経平均(推計値)の推移を示したもの。足元の日経平均は3万円程度(※決定係数=0.87)と推計され、実際の日経平均はやや割安ということになる。今後ワクチン接種の本格化と変異種の感染拡大の綱引きが予想されるが、最終的には先行する指標等が織込むような景気回復が期待される。

※決定係数:推計値の当てはまりの良さを0~1の値で表し、1に近いほど当てはまりの度合いが高い。

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