地球は温暖化しているのか
最近は、新聞紙面に地球温暖化の記事を見ない日はない気がする。地球が急速に温暖化し危機に向かっているため、世界各国がその原因となる温室効果ガスの排出量を削減すべくカーボンゼロの目標を掲げ、日本も2050年のカーボンニュートラル(ネット排出ゼロ)を目指す。ところで大気中のCO2濃度が0.03%から0.04%になっただけで、本当にそれほど騒ぐことなのか、筆者は理系出身ということもあり素朴な疑問を感じてしまう。一般的な意見ではないが、ここで素人なりに調べてみた。
C CO2などの温室効果ガスによる地球温暖化を有名にしたのは国連の政府間パネルIPCCである。発足当初の1990年には「人間の活動を起源とするCO2など温室効果ガスが気候変化を起こす可能性がある」という控えめな表現だったが、2001年には可能性が高い(66%)、2013年には可能性が極めて高い(95%以上)へと自信を深めている。図1は過去40万年間と直近千年間のCO2濃度変化だが、確かにここ2万年あまりCO2濃度は上昇しており、特に産業革命後の1800年以降は上昇が加速している。図2はその産業革命後の地球の気温変化だが、やはり1980年以降に上昇スピードは加速している。図1、2を見ると2000年以降は気温とCO2濃度がほぼ直線的に上昇しているため、相関関係を考えるとIPCCがCO2起源の可能性に自信を深めるのも頷ける。ところが同様にIPCCが発表している図3直近千年間の気温変化を見るとやや事情が異なり、CO2濃度が低かった1200年当時より現在の方が気温は低い。昨今北極の氷が解けているとの報道をよく見かけるが、今でこそ一面氷のグリーンランドも千年前には南部に肥沃な土地が広がっていた。つまり地球の気温変化をサイクルでみると、現在の上昇は大騒ぎするほどではないようにも見える。ちなみに10万年単位の気温変化(氷河期)サイクルとされるミランコビッチ・サイクルではCO2濃度は0.1~0.3%の間を往復しており、現在は1万年前に最後の氷河期が終わりCO2濃度と気温が上昇する過程にある。さらに長期サイクルでは、現在は4000万年前から続く氷河期、また20億年前にマントルが対流(パンゲア)して気温が急上昇して以来の気温低下期にあたるらしく、遡って地球誕生時(47億年前)から見ると、地表が高温のマントルで覆われCO2濃度が70%以上だった状況から継続的に低温化、低CO2化しているそうである。つまり現在の温暖化は宇宙船地球号の長期的寒冷化にブレーキをかけているとも言えるようだ。
さて、改めて人類のサイクルに戻り過去を振り返ってみる。CO2濃度が上昇し地球が温暖化すると植物の生育に適した環境になり、繁茂した植物は光合成によって大量のCO2を吸収、最終的に石油に変態することでカーボンを地下貯蔵した。現在の人類は、その石油を一気に採掘、燃焼させて再びCO2に戻すとともに、都市開発のために森林を伐採し続けている。ここまで見てくると、今回の温暖化への対策としては、直接的にCO2の削減ではなく、実は植林なのかもしれないとも思う。
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