米国株は底打ちするのか

米国は40年ぶりのインフレ到来とともに低金利政策を変更、Fedは3月の利上げに続き6月からコロナ禍対策の流動性供給で膨らんだバランスシートの縮小過程(QT)に入る。以前当欄で、過去検証から米株は2回目の利上げ以降に調整局面を迎えることが多いと指摘したが、直近のNYダウの高値は初回利上げ以前の1月であり、その後現在に至るまで調整局面が続く。さて今後の注目点は調整局面の終了はいつになるかだが、ここで過去の下落局面からNYダウの下値目途や反発時期などを占ってみよう。

まず、オイルショック以降の景気後退局面におけるNYダウ動きをみると、平均下落幅は約31%で、下落期間は約4.9ヶ月。今のところNYダウの過去最高値は今年1月に付けた36,952ドルであり、下値の目途は25,497ドルとなるが、景気後退局面入りの時点まだ特定されず反発時期は予測できない。

ところで過去における株価下落の要因としては、アジア危機やリーマンショック、コロナ禍など様々なタイプがあるが、足元の株式市場が警戒するのは金融政策の変更であることから、過去の利上げ局面での株価動向を見てみよう。

表1はオイルショック以降における米国の利上げ開始と終了時点、初回利上げ後のダウ底値を付けた時点と初回利上げ時のダウ高値を回復した時点及びそれに要した日数。全体の平均を見ると、ダウ高値から底値までの平均下落幅は18.97%、(A)初回利上げから(B)利上げ終了まで581日、(C)ダウ底値まで451日、(D)ダウ高値回復まで1,212日となる。

以上を今年3月16日の初回利上げに当てはめると、利上げ終了は2023年10月18日、NYダウの底値は2023年6月10日、価格は29,943ドルとなる。また利上げの理由を勘案し、今回はエネルギー価格上昇によるインフレ対策とすれば、①第1次オイルショックや②第2次オイルショック時を当てはめ、利上げ終了は2024年7月20日、NYダウの底値は2023年10月14日、価格は24,721ドルとなる。一方、現在の利上げを行き過ぎた金融緩和の正常化局面と見るなら、⑧ITバブル崩壊や⑨リーマンショックを当てはめて、利上げ終了は2024年9月15日、NYダウの底値は2023年11月21日、価格は32,407ドルとなり、価格ベースでは既に達成済みとなる。

今回の利上げが、行き過ぎた金融緩和の調整局面であればよいが、資源価格上昇に伴うインフレ対策の利上げとなると、オイルショック時のように、もう一段の株価下落を覚悟する必要があるのかもしれない。

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