石油価格とドル円
最近の為替ドル円の動きは、日米金利差との相関が高いようだ。そして現状日本の10年金利が日銀のYCCにより0.25%にピン止めされているため、日米金利差はほぼ米金利次第といってもよい。そこで 図1.米国の10年金利とドル円(JPY)の推移を見ると、たしかに両指数は良く連動しており相関係数は0.94と非常に高い。そして日本の10年金利はほぼ固定されているため、日米金利差との相関も同様0.94と高い。
現在の米国金利に最も影響を与えるのはインフレ率なので米CPIの行方、そして足元6月CPI前年比9.1%の上昇に対する原油価格寄与度が3%と高いことから、原油価格の行方が今後のドル円を左右するとも言える。
図2は原油価格の前年比と日米物価指数および米10年金利の推移。原油は2021年4月に前年比で一時300%を超える上昇となったものの、今後現在の$100/バレル辺りで横ばいとなれば、図の点線のように前年比の数値は低下してゆく。以前当欄で指摘したように、石油価格の変動がCPIに反映されるタイムラグは米国では約1ヶ月なので、特段の状況変化が当面なければ、米CPIは秋以降には低下すると予想され、米10年金利も年末にかけて頭打ちとなる可能性がある。
一方で日本の物価は、図2を見ると2020年末頃は国内企業物価(PPI)とCPIは、ともに前年比でマイナス圏でのレンジの動きとなっていたが、世界的物価高に加えて円安の影響もあり、昨年半ば以降は川上のPPIだけが米CPI並みに急上昇している。現在、国内企業は製造コストの上昇分を徐々に(経験的には半年程度かけて)販売価格に反映させてきており、今後CPIも加速度的に上昇していくと予想される。そうなれば、さすがに日銀もYCCを見直す可能性が高く、その場合日本の10年金利は上昇に転じる。
以上より、今後大きな情勢の変化がなければ、今秋以降に米10年金利は頭打ちとなる一方で、日本の10年金利は上昇、日米金利差は縮小に転じる可能性が高い。その場合、日米金利差との相関が非常に高い為替ドル円は、円高に転じると予想される。
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