首都圏マンション価格がバブル期越え
首都圏のマンション価格が歴史的な高値圏にある。不動産経済研究所が発表した首都圏の新築マンションの平均価格は、2021年に前年比2.9%上昇の6,260万円と遂にバブル期を越え過去最高を更新した。特に東京23区では同7.5%上昇の8,293万円と平均年収の15倍超、バブル期を経験している筆者などはそろそろ反落するのではと身構えてしまう。当時に比べ日本では少子高齢化が進み、空き家も増加する中でいったい誰が買っているのかというと、高額所得者と外国人らしい。日本でも所得の2極化が進み、いわゆるパワーカップルの誕生など富裕層はさらにリッチになり、相続など税務上も有利な高額マンション購入のインセンティブがあると思われる。一方、外国人から見た日本の不動産は足元の円安もあり割安に見えるようだ。そこで東京の不動産が他国と比べどのくらい割安かを調べてみた。
表1は各都市の高級アパートメントを比較したものだが、バブル期の1980年代後半には東京都の山手線内側の土地価格でアメリカ全土が買えると言われたのは遠い昔。今ではNYダウが当時から10倍に上昇、当時2,500万円だったカリフォルニアのプール付き一軒家も4倍の1億円超えで、30年前と同じような価格帯で取引されている日本の不動産は異質とも言える。また表を見ると、現在高級アパートメント1平米当りの価格は香港が最も高く、NY、東京は香港の約半値。中国共産党による統制強化の影響で目下過去最大の人口減となっているにもかかわらず、中国本土からの投資資金流入が香港の不動産価格を押し上げているようだ。
ここで注目すべきは各都市の不動産にかかる投資効率、つまり物件を賃貸に出した時の投資利回り。表1で東京の1㎡当りの年利回り(*)は2.93%とNYの3.67%に次いで2位だが、一方で物件購入資金を金融機関から借り入れる場合の金利負担は、米国の約5.5%に対し日本は1.5%程度、つまり投資利回りを比較するとNY▲1.83%に対し東京1.43%と東京の収益性の高さは歴然だ。さらに日本では外国人による不動産購入に特段の制限は無く、加えて非居住者に対する追加課税が無いという投資家を引き付けるメリットもある。このような海外から見た収益性の高さから、最近では各国の投資ファンドも相次いで日本の不動産を投資対象としたファンドを組成している。個人の場合は現在入国制限もあり足元の投資実績は限られるが、今後入国制限が緩和されれば日本の不動産投資熱はさらに高まると予想され、将来的には麻布や青山などの高級住宅街に住む大多数が外国人ということになる可能性もある。
ちなみに筆者が1990年代にロンドンで賃貸アパートメントを探していたころ、家主はほぼ英国人以外だったが、東京も近い将来そうなるのかもしれない。
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