新NISAの活用法

政府は令和5年度税制改正大綱において、2024年以降のNISA制度の抜本的拡充・恒久化の方針を示した。旧制度との違いは、まず制度の有効期間を恒久化、加えて「一般(成長投資枠)」と「積立(つみたて投資枠)」の上限を各年240万円と120万円に拡大し併用可能とした。また最大投資額は買付残高1,800万円うち一般分は1,200万円まで拡大した。使い勝手が大幅に向上したことで利用拡大が進むと期待され、金融機関各社は過去実績や戦略から比較的高品質な投資商品を低めに抑えた手数料で提供する構え。良いことずくめのような新NISAだが、引続き非課税であると同時に損失が出た場合は一般口座や特別口座との合算はできないため、できるだけ利益が見込まれる商品に投資したいところだ。ここで新NISAスタートに備え、投資手法やその対象を今一度考えてみよう(*)。

<一般NISA or積立NISAどっち?>

積立NISAを選んだ場合、投資スタイルは通常ドルコスト平均法になる。これは一定金額を定期的に購入に充てるため、価格が安い時は多めに価格が高い時は少なめに投資し平均簿価を引下げる手法。図1では例として毎期3万円を日経平均に投資するケースを考える。1期目に1株3万円で1株、2期目には1.5万円で2株購入する。その後に日経が3万円に戻った場合、保有株数は計3株で平均簿価は2万円となり、評価益は計3万円となる。つまり上げ相場で利益が出るのはもちろんのこと、もみ合い相場でも利益が出易い投資手法である。図2は同じくドルコスト平均法で40年間①10年国債②日経平均③円建てS&P500に毎月投資した場合の累積パフォーマンス。上昇を続けたS&P500は投資資金が11.3倍に達したが、日経平均も2.3倍となり国債の1.3倍よりは良い結果だった。さらに日経平均は本格的な上昇に転じるアベノミクス前でも、もみ合い相場だったためプラス収益を確保できた。これを見ると株価が下がったときは一般NISAで購入すればよいと思うかもしれないが、実際には株価が下がった時には怯んで投資額が減少、上昇している時には自信を取り戻して増額という悪循環に陥りやすい。加えて常に相場を見ている必要があり、タイムパフォーマンスはあまり良くない。

<投資対象は何が良い?>

一般的に言えば債券投資は堅実、但し長期的なパフォーマンスで見ると株式に軍配が上がる。図2で見る通り米株は魅力的、経済が安定的に成長する国の株は上昇基調となり易く、同様に経済成長が期待できる地域としてはアジアが挙げられる。ただし海外株など外貨建て資産に投資する場合は為替リスクにも注意が必要だ。セオリー通りではあるが、海外株と日本株を合わせた分散投資が王道かと思われる。新NISAは一般と積立が併用できるので、分析データが集まりやすい日本株は一般NISA、多面的な分析が必要な海外株は積立てNISA、として分散投資を行うのも一案であろう。 

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