日米欧経済

・米国

8月の製造業新規受注は前月比1.2%とプラス転換、9月のISM景気指数は非製造業が前月から減速しつつも50以上を維持、製造業は50割れながらも2022/11以来の水準を回復するなど、経済は引続き底堅い。雇用統計では失業率は横這いとなったものの、非農業部門雇用者数は予想を大幅に上回る増加、平均時給も高止まりしており、賃金上昇によるインフレ長期化が警戒される。Fed高官からは複数回の追加利上げが必要との意見や、これまでの利上げ効果を踏まえ追加利上げは不要との意見もあり、今後の金融政策にかかる見解は分れる。つなぎ予算案は成立となった一方、下院議長は解任されるなど財政運営の信頼は低下、経済への影響が懸念される。

・欧州

ユーロ圏8月の小売売上高はインフレ高止まりの影響から前月比のマイナス幅が拡大。主要貿易相手国である中国景気悪化の影響が生産関連だけでなく消費関連にも広がる。ユーロ圏8月の生産者物価指数は前年比▲11.5%と12か月連続の低下、川上の物価は鈍化傾向が続く。景気減速とともにインフレ圧力も沈静化しつつあり、金融引締めの最終局面が視野に入る。米国におけるウクライナ支援の追加予算案が棚上げになるなど西側諸国に支援疲れが広がる中、ウクライナ紛争の長期化が懸念される。

・日本

7-9月期の日銀短観では大企業製造業の業況判断が2期連続で改善、非製造業は6期連続で改善し1991年以来の高水準となった。8月の景気先行指数は3か月ぶりに改善するなど、経済活動は堅調を維持する。8月の毎月勤労統計調査によると現金給与総額は前年比1.1%と名目賃金は増加基調を維持したものの、実質賃金は同▲2.5%となり17か月連続のマイナス、賃金の伸びが物価高に追いつかない状況が続く。日銀は9月の政策会合の主な意見を公表、物価目標2%の達成に関して今年度後半が見極めの時期とする意見もあった。円安が進行する中、日銀によるマイナス金利解除のタイミングに注目が集まる。

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