日米欧経済
・米国
9月の小売売上高は6か月連続で前月比プラス、鉱工業生産も3か月連続の前月比プラスで設備稼働率も上昇するなど、高金利にもかかわらず米経済は全般的に底堅い。ただし金利に敏感な住宅市場は、9月の住宅着工件数が上振れた一方で、着工許可件数および中古住宅販売は悪化するなどまだら模様だ。FOMCを控え、パウエルFRB議長の講演が注目されたが、追加利上げの必要性は低いとの認識を示唆、月末FOMCでは金融政策の現状維持が予想される。シリア南部の米軍基地にドローンが飛来、イエメンからのミサイルを米駆逐艦が迎撃するなど、米国はイスラエル紛争に巻込まれつつある。
・欧州
独10月のZEW景況感は3か月連続で改善、ユーロ圏のZEW景況感も6か月ぶりにプラス転換、加えてユーロ圏の8月貿易収支および経常収支も7月からプラス幅を拡大するなど欧州経済は最悪期を脱しつつある。主要貿易相手国の中国も、政府による景気下支え策もあり7-9月期GDP成長率が上振れ、欧州経済へも好影響が期待される。ポーランドの総選挙ではポピュリストの右派与党が敗北、親EUの新連立政権誕生となりそうだ。一方、イスラエルとパレスチナの武装組織との紛争は激化、ウクライナ紛争に続く地政学リスクの高まりから、サプライチェーンの混乱、資源高に伴うインフレ再燃が危惧される。
・日本
8月の設備稼働率は前月比でプラス転換となったものの、8月鉱工業生産は速報値の0%から▲0.7%へ下方修正されるなど経済指標は強弱マチマチ。9月の貿易収支も自動車関連の輸出増により624億円と3か月ぶりに黒字転換となったが、季節調節済では▲4,341億円と引続き大幅赤字が継続する。原油高および為替の円安にもかかわらず補助金の影響もあり9月の消費者物価指数は前年比で減速、ただしコアコア指数(除く生鮮エネ)は4.2%と高止まる。日銀は中東情勢の緊迫化に対し足元の円安進行もあり難しい判断を要する局面を迎えており、今月末の政策決定会合が注目される。
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