日米欧経済
・米国
10月の消費者信頼感指数は102.6と5か月ぶり低水準、ISM景気指数も製造業、非製造業ともに前月から下振れた。特に製造業は12か月連続で50割れとなり、高金利の影響もあり米経済は減速基調に転じつつある。雇用統計では、非農業部門雇用者数は予想対比下振れ、失業率は3.9%と1年半ぶりの水準まで上昇、平均時給の伸びも抑制されつつあり労働需給は緩和に向かう。11月のFOMCでは、市中金利の上昇と中東情勢緊迫化を背景に、予想通り2会合連続で利上げを見送った。声明文でも若干タカ派色が薄まり、市場の年内追加利上げ観測は後退した。
・欧州
ユーロ圏7-9月期のGDP成長率は3四半期ぶりのマイナス成長、利上げとインフレによりGDPの3割を占める独を筆頭に景気後退懸念が強まる。ユーロ圏10月の消費者物価指数は前年比2.9%と6か月連続で低下、ECBが目標とする2%に近づきつつある一方、コア指数は同4.2%と高止まる。英中銀はインフレの鈍化基調を受け、2会合連続で政策金利を据え置いた。ウクライナ紛争の長期化に加え中東情勢の混迷もあり、資源高と共にサプライチェーンの混乱リスクの高まりが懸念される。
・日本
9月の鉱工業生産は自動車生産が好調で3か月ぶりに前月比プラスとなった一方、物価上昇の影響もあり消費は減速、小売売上高は前月比▲0.1%と3か月ぶりのマイナスとなった。日銀は10月の政策決定会合でマイナス金利政策を維持、一方で長短金利操作(YCC)政策の再修正を決定、10年金利の1%超えを容認し事実上YCC政策を形骸化した。展望レポートでは23、24年度の消費者物価上昇率を2.8%に上方修正した。植田総裁は、会見で物価目標2%の達成を十分な確度で見通せる状況にはないと指摘、引続き賃金上昇の動向を確認した上でマイナス金利解除に動く姿勢を維持した。
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