来年の十大テール
今年も年の瀬となり来年のマーケットを占う時期となった。昨年末に挙げた10大テールリスクのうち3件(日銀の異次元緩和終了、原油価格下落、新興国の躍進)が一部現実となったが、改めて来年の10大テールリスクについて占ってみよう。
⓵トランプ元米大統領再選…大統領選ではトランプ氏が勝利。前回同様米国第一主義を掲げ、自国企業を優遇し保護貿易政策を採る。中・露だけでなく欧州・アジアの友好国に対しても容赦ない経済的圧力をかけ、結果的に友好国陣営から親中・露へと乗り換える動きが出て、民主主義陣営は弱体化する。
②米ハイテクバブル再燃…全世界の製造業、サービス業でAI活用が拡大、更に財政や軍事戦略など各国の政策決定にもAIが応用されることで、ソフト・ハードでAI需要が爆発。2000年にかけてのインターネット拡大期同様ハイテクバブルが発生、ナスダックは史上最高値を更新30,000ptに達する。
③マグニフィセント7米国脱出…米株市場をけん引する7つのスター銘柄をマグニフィセント7と呼ぶが、これら企業にとり極端に右派・左派に傾く米国政治は逆風。中道路線の安定的な政治で安全で暮らし易く、ドル建てで安価な設備と人材を確保できる日本に本部を移転。日本の資産価格は急騰する。
④欧州再びデフレ突入…原油安の進行と共にエネルギー価格は下落。政策金利の引上げによる景気減速と中国景気後退により消費が減退、需給バランスが崩れ物価は再び前年比マイナス圏に落ち込む。各国中銀は急ピッチで利下げに動くものの、欧州経済はデフレ経済に逆戻りマイナス金利が復活する。
⑤ロシアがウクライナ占領…米国をはじめとする西側諸国は紛争長期化に伴う支援疲れからウクライナへの軍事支援を縮小、結果的にロシアが勝利する。ウクライナはロシア領となり、世界の原油・穀物等の過半を権威主義国家が握ることとなり、民主主義陣営はエネルギーと食料不足から景気後退へ。
⑥中国的な国家増加…台湾総選挙で親中国を掲げる野党が勝利。サウジアラビアやアフリカ諸国など権威主義国家および軍事国家は、中国に接近する。一方で民主主義国家は中国に対抗するため、国内企業支援や保護貿易政策を推進、結果として世界で自国優先の中国的政策を採る国家が増える。
⑦中国失われる30年へ…中国は少子高齢化、土地バブルの崩壊および若年層の就職難など、かつて日本が辿ってきた道をなぞる。現状は金融機関の不良債権が急拡大する途上にあり、今後は金利低下が進みデフレ経済入りとなる。大卒者が過去最多となるなか就職難で賃金は低下、ゼロ成長が長期化する。
⑧円金利も逆イールド…日銀はデフレ克服を宣言、異次元緩和終了に動く。円金利上昇に伴い金融機関の収益は好転、高齢者の金利収入も復活する。銀行の貸出積極化と共に現預金の大半を占める高齢者の消費が拡大、経済成長に伴う物価高により政策金利の引上げが加速、円金利は逆イールドとなる。
⑨日経平均史上最高値更新…日本はデフレ経済から脱却。株式市場には海外から経済成長と企業改革を好感した買いが入る一方、国内では金利発生と物価上昇を契機とした預貯金からリスク資産への資金シフト及び新NISAスタートに伴う買いもあり、日経平均は1989年の史上最高値を遂に更新する。
⑩河野新政権誕生…岸田首相は派閥パーティー券問題や支持率低下を招く政策運営により求心力を失い、自民党の保守派やポピュリズム政策を掲げる議員らは反旗を翻し辞任に追い込む。総裁選では各候補がバラマキを公約とする中で、緊縮財政を主張する河野氏が国民の心をつかみ勝利する。
来年のことを語ると鬼が笑うというが、不穏なテールリスクに関しては杞憂に終わって欲しいものだ。
0コメント