インデックスファンドの次

最近は、新NISAのスタートや日経平均株価の34年ぶり最高値更新など、ニュースでは株式投資の話題が溢れ、まさに百花繚乱。今年は欧米も株価指数が過去最高値を更新する中、多くの株系ファンドがプラスの利益をたたき出している。株系ファンドには、大きく分けてアクティブ型とインデックス型投信があるが、日米欧株が過去最高値を更新するような上昇局面において、パフォーマンスがインデックスを上回るアクティブ型投信は少ない。日本ではアクティブ型として各社の提供するファンドラップやアクティブ投信があるが、例えばコロナ後で最も運用成績の良いファンドラップはグローバル投資タイプであり米S&P500の比率が高いが、パフォーマンスはS&P500インデックスに劣後する。他のグローバル投資タイプの投資信託を見ても、運用成績はインデックスを上回るものは少ない。また国内株系タイプを見ても、一部のバリュー株に投資するアクティブ投信がTOPIXを上回るものの、それ以外はインデックスに概ね劣後する。加えて、投資の神様と言われるバフェット氏も、個別株投資はプロでも難しいので、一般投資家には低コストのインデックス型を勧める。つまり実績ベースから見てもカリスマ投資家のアドバイスを参考にしても、アクティブよりインデックス投信が選ばれ易く、以前はアクティブ型が多かった日本でも足元では投信残高の3割以上がインデックス型である。新NISAにより投資に目覚めた若者の資金も取り込みながら、今後は日本でも資産運用業の発展が見込めるものの、その運用形態はインデックス型が7割を占める米国に近付いていくと思われる。

ところが投資の世界では「人のいく裏に道あり花の道」との格言もあり、皆と同じことをやると大きな成功を得られないとされる。実際、インデックス型は指数採用銘柄をほぼ全て購入するので、大量のインデックス投資は指数に採用される所謂ゾンビ企業も含めお構いなしに買うことになる。逆に言えば、インデックスからゾンビ企業だけを除く、あるいは伸びが見込める特定セクターに重点投資する“凡そインデックス型のアクティブファンド”を作れば、純粋なインデックス型に勝つ可能性がある。 つまりインデックス投信流行の次は「インデックス+α型ファンド」かもしれない。

国内株系の場合を考えると、どの銘柄を除く、或いはどのセクターのウェイトを調整するか等が問題となる。ここで再びバフェット氏に登場願い、とりあえずTOPIXに加えてバフェット銘柄(現状は商社株)のウェイトを引上げる。バフェット氏は2020年8月に日本の商社株を購入したと公表、その後の商社セクターの収益は3.1倍とTOPIXの1.7倍を大きく引き離す。これだけでは独自性に欠けるので、当欄で過去に推奨したセクターのウエイトも引上げる。TOPIXに加えJ-REIT、銀行セクターを投資対象とした当社推奨銘柄の収益は2.3倍とバフェット氏の商社セクター単体投資には劣るもののTOPIXを上回る。そこで「TOPIX+α型」のウェイトをバフェット氏推奨と当欄推奨を25%づつ、残りをTOPIXとしてみる。このファンドの5年間のパフォーマンスを検証したものが図1。図を見ると狙い通りリスク分散しつつもTOPIXインデクスを凌駕している。

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