日米欧経済
・米国
2月の製造業新規受注は2か月連続の上昇、貿易収支は高水準の赤字継続、関税実施前の駆け込み需要が影響する。3月のISM製造業景況指数は3か月ぶりの50割れ、非製造業指数は昨年6月以来の低水準、トランプ政権の関税策などへの警戒感が高まる。3月の雇用統計では、非農業部門雇用者は前月から増加した一方で失業率は2か月連続の上昇、政府職員削減の影響が出始める。トランプ大統領は相互関税策を発表、世界的に景気後退懸念が高まる。パウエルFRB議長は講演で、景気と同時にインフレ高止まりを優先すると発言。市場では景気後退懸念から、年内利下げ回数の織り込みが5回に増加する。
・欧州
ユーロ圏2月の失業率は過去最低を記録、労働市場のひっ迫が続く。3月のCPIは2か月連続で低下する一方、2月のPPIは5か月連続で上昇し2023年2月以来はじめてCPIを上回りインフレ拡大懸念が高まる。独2月の製造業新規受注は前月比横ばい、米政権の関税引上げが回復を抑える。ECBは3月理事会の議事要旨を公表、米政権の関税策が不確実性を高めるため、次回会合で利下げ・据置きの両方を検討するとした。フォンデアライエン欧州委員長は、関税は世界経済に大きな打撃になると懸念を表明、対抗措置の用意があると発言。市場では次回4月会合での利下げ継続の織り込みが進む。
・日本
1-3月期の日銀短観では大企業製造業は米関税への不透明感から低下した一方、大企業非製造業はインバウンド需要の強さから上昇。2月の鉱工業生産は4か月ぶりに増加、関税引上げ前の駆け込み需要が影響する。小売売上高は2か月連続のプラス、賃金上昇とともに緩やかな上昇傾向にある。2月の失業率は6か月ぶりに低下した一方、有効求人倍率は低下、人材不足が続く中でコスト高に伴う収益圧迫が影響する。植田日銀総裁は衆院で、米関税政策は経済の下押し要因になるとし、見通しの修正に合わせて政策対応するとした。市場では、日銀による追加利上げの時期先送りとの見方が広がる。
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