関西万博訪問記

GW最終日に日帰りで関西万博に行ってきた。妻からの「万博と聞いて食指を動かすのは60歳以上」とのそしりを受け流して、娘2人を連れての強行である。一方で、前評判の高くないイベントにありがちな、時間と共に人気が上昇するリスクを避けるためスタート間もない5月上旬の日程とし、その上で子供たちの親が体力も財力も底をつくGW最終日を狙った。更に、地方からの観光客が帰路に就く夕方に事前予約を固める頭脳プレーだ。

しかし、到着と同時に飛び込む予定だった日本館が目の前で受付終了という想定外の躓き。仕方なく世界1位2位の大国である米国館と中国館に入った。米国館の前評判は芳しくなかったが、ディズニーアトラクションばりの地球脱出体験が面白いとのSNS投稿もあり、1時間並んでの入場。待っている間に、長女に隣のフランス館でのサンドイッチ購入を頼んだところ、まさかの列への再合流禁止ルールに抵触。長女はサンドイッチを抱えたまま、コモン館A(小国の合同展示スペース)での待機となり、再び躓いた。米国館は前評判通りやや期待を裏切る印象で、特に米国での教育の素晴らしさをアピールする前半部分は、トランプ政権の大学補助金打ち切り政策により台無しといった印象。地球脱出映像もさほどの感動はなく、「月の石」は結局スルー。一方で中国館は余り並ばずに入場でき、青銅器など紀元前3000年頃の国宝級展示物は素晴らしかった。こちらでは「月の裏の石(ほぼ砂)」が展示されており、そこそこ満足できたが、事前に話題となっていた先端技術を誇示するロボットは見当たらず、思ったより温故寄り。感想としては、米中共に関税合戦で忙しく、アジアの小国日本で開催の万博は手抜きといった印象だ。

さて日帰りでもあり、余り感慨に浸っている余裕はない。同行をお願いした娘達ご所望の韓国館を消化、昼飯を兼ねてイタリア館へ。ここには、2014年に発見された遣欧少年使節団の「伊東マンショの肖像画」、カラバッジョの「キリストの埋葬」、ローマ時代の彫刻「アトラス像」、ダビンチの「直筆スケッチ」など国宝級がずらり!これだけでかなりの満足度。加えて、レストラン「EATARIA」のパスタは絶品、価格もフランス館のサンドイッチに比べ良心的だった。次はメイン施設の大阪ヘルスケア館へ。健康データに基づく体験では、自分の身体年齢が実年齢より5歳上だったことでやや気分を害し、更に25年後の風貌は宇宙人のよう、娘達もすっかりおばさん姿となっていたため、一同皆不機嫌となった。当館には様々な出し物があり1日中遊べる充実度、その中でも大阪メトロ出展の「25年後の梅田駅体験」は予想外に出来が良く、漸く楽しい未来を感じられた。次は台湾が出展するTECHワールド館へ。中国の影響で台湾を国とは表現できない不自由さがやや窮屈に感じられた。液晶や胡蝶蘭の展示は素晴らしかったものの、先端技術に関しては半導体産業の優位性を説明する映像に留まった。最後はNTT館の予定だったが、地下鉄夢洲駅までの所要時間やアトラクション鑑賞時間を考慮して、予約はキャンセルして帰路へ。帰りの新幹線内では、お土産の菓子をつまみつつ一同熟睡、午前1時頃の帰宅となった。

午前中は生憎の雨だったせいもあるが、日頃鍛えた相場観が役立ち、会場はさほどの混雑もなく狙い通り。日本館とNTT館は見逃したものの6館に入場することができた。会社員の目で万博を見ると、米中は対立する経済情勢を反映し万博どころではないといった印象。一方で、米関税政策に伴う漁夫の利や財政支出拡大が期待される欧州は、上記イタリアに加え、フランス(1番人気らしい)やドイツ(夕刻にはディスコ状態)などが好調な様子。日本と韓国はそこそこ、ようやく開館したインドはGoing My Wayといったイメージか。

0コメント

  • 1000 / 1000