日米欧経済

・米国

7月の非農業部門雇用者数は市場予想を下回り、5、6月分も大幅下方修正となった。6月の求人件数も前月を下回り、雇用関連指標には明らかに悪化の兆しが見られ、7月のISM製造業景気指数も下振れた。一方で、4-6月期のGDP成長率は関税発動前の駆込み輸入増の反動で上振れ、GDPの7割を占める個人消費も堅調で、6月の個人所得・支出はいずれも前月比で増加するなど経済指標は強弱マチマチ。ただし雇用鈍化が続けば、今後米経済全体の減速も予想される。FOMCでは5会合連続となる政策金利据え置きを決定じたが、7月雇用統計を受け市場には早期利下げ期待が急速に高まった。

・欧州

4-6月期のユーロ圏GDP成長率は前期比0.1%と、前期の0.6%から減速し、マイナス成長寸前となった。仏が0.3%と成長を加速させた一方、独は▲0.1%とマイナスに転じ、域内全体を押下げた。雇用面では、6月のユーロ圏と独の失業率が5月から横ばいで歴史的低水準を維持。一方、物価はユーロ圏7月のCPIが市場予想を下回り、ECBの想定通りの展開が続いている。ただし、15%で合意したトランプ政権の関税措置の影響は今後本格化するとみられ、域内成長率が再びマイナスに陥るリスクが残る。

・日本

6月の鉱工業生産は航空機関連がけん引し、前月比でプラス転換。小売売上高も株高による資産効果などを背景に消費が堅調で同1%増となった。雇用面では、失業率が2.5%と5月から横ばいの一方、有効求人倍率は1.22倍と予想外に低下、長期的な人手不足感にはやや一服感もある。日銀の金融政策決定会合では、予想通り4会合連続で政策金利の現状維持が決定されたが、展望レポートで今年度のCPI見通しを4月の2.2%から2.7%へと上方修正。植田総裁は会見で、コメやエネルギー価格の影響による物価上昇は一時的で、引続き基調的インフレ率は2%をやや下回るとした。今年後半には実質賃金がプラスに転じる可能性があるとしつつも、市場は総裁発言を予想外にハト派的として為替は円安方向に振れた。

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