日米株価が最高値更新

日米で主要株価指数が過去最高値を更新しているが、チャート分析から今後の展開を予想してみる。

<米国株S&P500>

図1は過去40年のS&P500株価推移を対数で示したもの。これを見ると米経済成長に伴い株価も順調に上昇している。そして、ハイテクバブルやリーマンショックなどの変動はあったものの、株価は凡そ赤破線で示したトレンドラインに沿って動いた。このトレンドラインは1990年の243ポイントを起点とすると、株価=243×(1.094の(1990年からの年数)乗)で表され、S&P500が複利9.4%のペースで上昇していることを示す。つまり米企業の長期的成長率は9.4%となる。たしかに、米国はインターネットやAIなど世界をリードする技術を生み出し続け、人口も増え続けるという世界の中でも特別な存在である。中国が世界の覇権を握る等、今までとは異なる社会状況とならない限り、今後も米株はこのトレンドラインに沿って上昇を続ける可能性が高い。ただし、図1に示した通り、ブラックマンデーやリーマンショックなどの株価急落が凡そ10年毎に発生している。前回の新型コロナ禍が2020年だったので、2028年頃からは要注意期間へと突入する。奇しくもトランプ大統領の任期満了となる時期でも

あり、心に停めておきたい。

<日本株日経平均225>

図2は過去15年の日経平均株価推移である。チャート的には直近1年間で31,000円と42,000円でダブルボトムとダブルトップを形成し、結局上っ離れた形。この場合、倍返しの53,000円が上値ターゲットとなる。赤破線はトレンドラインだが、トレンドを延長すると53,000円に到達するのは2028年頃となり、米株同様2028年以降はやや注意となる。日経平均は足元で1年1か月ぶりに最高値を更新したが、日本経済を取巻く環境を見ると、トランプ関税による自動車を中心とする輸出企業の減益、金融面では物価上昇を反映し利上げ継続などが予想されるうえ、政治面では自民党が衆参両院で少数与党となるなど悪材料が目白押しだ。にも拘らず株価上昇が続く姿は、昨年の独株指数DAXを想起させる。当時の独は、米トランプ政権誕生で欧州への要求増に加え、極右政党Afdの台頭と政権交代、ウクライナ紛争泥沼化など悪材料目白押しにも拘らずDAXは最高値更新を続けた。結局メルツ新政権が戦後の緊縮財政路線を財政拡大へと転換したことで、経済成長期待が高まり株価上昇は正当化されたが、日本株は何を期待しているのだろうか。ところで図2でアベノミクス以降の株価上昇を米株同様に複利計算すると、年率11.3%とS&P500を上回る。日本経済の成長率が米国より高いとは信じ難いが、1990年から見れば株価はほぼ横ばい。つまり、失われた30年と言われるように長期的にはまだゼロ成長である。

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