日本国第104代首相は誰に
公明党の連立離脱により自民党の高市総裁が日本の第104代首相に選出されない可能性が出てきた。首相指名選挙では、1回目の投票で過半数を獲得できない場合、上位2名による決選投票が行われ、最終的には過半数に届かなくとも票数が多い候補が首相に選出される。
表1は現在の衆議院の党派別議席数を示す。過半数の233に対し自公合計は220なので、野党が完全に一本化でまとまらない限り高市首相誕生は有力視されていた。ところが、公明党の連立離脱により自民単独では196にとどまるのに対し、仮に立憲・国民・維新が首相候補を玉木氏に一本化できれば、合計210となり決選投票で勝利できる。
表1.会派名および衆院所属議員数
会派略称 自民 立憲 維新 国民 公明 れいわ 共産 有志 参政 こども 無所属
所属議員数 196 148 35 27 24 9 8 7 3 2 6
高市氏は、「公明党は結局離脱できない」と高を括っていたとみられるが、事態の変化を受けて他党との交渉を活発化。週末には連立相手として意中の維新に急接近し、両党の政策合意は間近まで進んでいる。維新は企業・団体献金の禁止、食料品に対する消費税減税、国会議員1割削減などを訴えている。このうち企業・団体献金の禁止は自民党内の反対意見が強く、消費税減税も財源問題がネックとなるため早期合意は難しい。一方で国会議員数削減については、比例代表の定数削減であれば代表議席の多い公明党への打撃が大きく、連立を離脱した公明党への意趣返しの意味もある。加えて、少数与党となった自民党にとっては、議席数よりも「議席率」を高める戦略として受け入れ可能な案といえる。高市氏はさらに、NHK党と参院会派を結成したり参政党に秋波を送ったりと多数派工作を続けており、コメント通り絶対に首相の座を諦めない姿勢を鮮明にしている。
一方の立憲と国民は、集団的自衛権を違憲とする立憲と現実路線の国民との間で安保法制をめぐる溝は埋まらず、統一候補協議を打ち切った。国民玉木代表は「立憲とは依然隔たりがある」とするが、少数政党党首として数の上で主導権を立憲に奪われることを警戒した側面もある。
維新が立憲・国民との協議から離脱したことで、自民・維新で合計231議席となり高市首相誕生の可能性は一段と高まった。維新では、党内に閣僚経験者が少ないこともあり、自民の政治改革姿勢を見極めるためにも閣外協力論が高まっているようだ。さて、高市氏が取り組む経済対策としては、野党の賛同を得やすいガソリンの暫定税率撤廃や所得税の基礎控除の見直しなどの減税措置が挙げられ、それらを含む補正予算の早期成立を目指す見通しだ。財源としては当面、赤字国債の増発が見込まれるものの、自民副総裁の麻生氏および連立相手の維新が財政健全化を重視すると見込まれ、増発は抑制的となる可能性がある。外交面では、トランプ大統領訪日も予想される。総裁選では、対米投資80兆円は日本に不利として見直しを掲げたが、日米関係悪化リスクに配慮し、結局取り下げている。表敬訪問レベルにとどまる限り、両者とも自国第一主義と金融緩和路線を掲げる点で、相性は悪くないとみられる。
臨時国会は21日に召集予定で、首相指名選挙は未定ながら、首相が選出されれば同日中に新内閣が発足する見通し。新首相は国会での所信表明演説を経て、26日から予定されるマレーシアでASEAN会議に臨む。なお、仮に野党が連立に漕ぎ着け玉木首相が誕生した場合でも、消費税減税の可能性が高まる以外は、経済面や外交面ともに高市政権との差異はあまり大きくないとみられる。
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