2024YR4
2024YR4は2024年12月27日、南米チリにある小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)の望遠鏡によって発見された。一時は地球衝突確率が3.1%まで上昇し、大きく報道されたが、現在ではその脅威はほぼ消滅したとされる。発見後は米ニューメキシコ州マグダレナリッジ天文台、デンマーク望遠鏡、チリの超大型望遠鏡などで観測が続けられ、現在の距離は約5,000万km、推定直径は約60±7mとされる。4月上旬までは観測可能であったが、その後は見えなくなり太陽周回軌道を移動し続けている。正確な大きさが分かれば、将来的に地球に衝突した場合のリスクを推定する手がかりとなるが、もし想定されるサイズの上限だった場合、衝突地点から最大50㎞の範囲で爆発の被害が出ると考えられる。この大きさの小惑星は数千年ごとに地球に衝突しており、過去には大きな被害も発生している。2019年には、なんと直径130メートルもの巨大な小惑星が地球をニアミスしていたなんていうケースもあるが、実はこのとき、前日まで誰も気づいていなかった。
惑星協会によると、1908年には直径30mの小惑星がロシアのシベリア辺境の森林の中の川に落下。森林の破壊は2,150平方㎞の範囲に及び、2,000万本の樹木に被害が出た。2013年にロシアのチェリャビンスク上空で大気圏に突入した直径20mの小惑星は、空中で破裂して最初期原子爆弾の20~30倍のエネルギーを放出し、太陽以上の光と熱を発散。7,000棟を超す建物が損壊し、1,000人以上が負傷した。2024YR4が岩石でできた小惑星だった場合、1908年の衝突と同程度の影響が出ると予想され、これは直径25㎞の円の面積に相当する。
さて、一時は地球に衝突する恐れがあった2024 YR4だが、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のデータによると、地球に衝突する確率はほぼゼロ%となった一方で、2032年12月22日に月に衝突する可能性が4.3%に高まった。論文の筆頭著者であるカナダ・ウェスタンオンタリオ大学のウィーガート教授は、「これほど大きな小惑星が月に衝突するのは、およそ5000年ぶりだろう」と説明。衝突によって放出されるエネルギーは「大規模な核爆発に匹敵する」と付け加えた。研究チームが行った一連のシミュレーションによると、この衝突によって、月の表面から最大10万トンの物質が飛散する可能性がある。また2024YR4が地球から見える月の表側に衝突した場合、飛散した物質の最大10%がその後数日間にわたって、地球の重力で引き寄せられる可能性があると指摘している。地球の大気が、最大数㎝のそうした飛散物質から地表を守るが、これらの飛散物質は人口衛星を破壊する可能性がある。一方で、地上からは夜空を照らす「壮観な」流星群を目にすることができるかもしれない。
月の存在は地球環境にとって非常に重要で、たとえば月は地球の自転スピードを遅くする役割を持つ。もし月がなければ、地球は1日8時間という、今の3倍の速さで自転する。すると地表は風がとても強くなり、天候は大荒れになる。さらに、地球の自転軸を約23.4度傾いた状態に保つ働きもあり、この傾きのおかげで、地球に春夏秋冬の四季が生まれている。月という「地球の伴侶」に5000年ぶりの衝突が起きるかもしれず、致命的ではないが、実際に月面で爆発的な閃光や新たなクレーターが生まれたなら、それは人類が目撃する最大級の“天体ショー”となるだろう。
0コメント