AIバブル崩壊か?
米大手投資銀行ゴールドマンサックスとモルガンスタンレーのCEOがAIブーム後10~20%程度の株価調整を警告したことが重荷となり、11/4の米国市場はNYダウが$251安、ナスダックは486pt安となった。近年の米株はAIブームに沸いており、主要テクノロジー企業7社(マグニフィセント7)の直近1年間の株価上昇率37%に対し、それ以外のS&P500指数の上昇率は7%に留まる。株価上昇の大部分が一部ハイテク企業に偏っており、2000年の米ハイテクバブル期との類似性を指摘する声も多い。
図1は2000年ハイテクバブル前後のナスダックとS&P500の推移で、図2はコロナショック以降の両指数推移(当初値を100として標準化)。ハイテクバブル期に、バフェット氏はドットコム銘柄を理解できないとして投資対象とせず、当時のFRB議長グリーンスパン氏も1996年に「根拠なき熱狂」という言葉を使い株価上昇に警鐘を鳴らした。その後、ナスダックは1998年のLTCMショックを乗り越え上昇。1996年には1300前後だったが、ハイテクバブルが崩壊するまで3年半を要し一時5000を超えた。図1を見ると、ナスダックはLTCMショックで一時的に下落したものの、その後再び上昇し2000年年初に向けS&P500を大きく凌駕して上昇した結果、当時バフェット氏の投資手法は時代遅れとされた。さて、調整局面での保有株損失により買い遅れ組が発生するという意味では、図1のLTCMショックに対し、図2ではコロナショック、あるいはトランプ関税ショックが同様の効果を持つと思われる。今回もバフェット氏は投資対象として米株の魅力は高くないとしており、現金比率を過去最高水準(約2,000億ドル)に高めている。現在、FRB議長のパウエル氏は株価上昇に警鐘を鳴らしてはいないが、前述の投資銀行幹部に加え、サブプライムショック時に空売りで天文学的収益を稼いだバーリ氏が、保有株の大部分を売却しエヌビディアなどに弱気ポジションを取ったと発表している。
あらためて図2を見ると、ナスダックの上昇率は確かにS&P500を上回るものの(コロナショック時から1.3倍)、図1のハイテクバブル時(LTCMショック時から2倍)ほどではない。またナスダックに関し代表的株価指標のPERを見ると、ハイテクバブル時の70倍超えに対し、現在はまだ38倍である。AIによる企業業績への貢献は緒に就いたばかりで、当面はまず若年ホワイトカラー層の仕事を、その後はホワイトカラー全般の仕事を担うことで、人件費削減や業務効率化により企業収益の大幅向上が見込まれ、株価上昇は続きそうだ。過去のバブル期やリーマンショック期では、市場の過熱警戒感に対し実際に株価が急落するまで2~3年のラグがあったことを踏まえると、本格的な株価調整は来年から再来年にかけて訪れる可能性もあろう。もっとも、10年に1回とされる大型ショック時におけるナスダックの下落幅は、ハイテクバブル時で77%、リーマンショック時50%、コロナショック時33%と、今回投資銀行幹部が警告した10~20%より大きいことには留意が必要だ。
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