各国金融政策
足元では世界の中央銀行が再び金融緩和に動き出したように見える。そこでここ2週間ほど相次いだ各国中央銀行の金融政策会合をまとめて見てみる。
《ECB:欧州中銀》・・・9/12のECB理事会では以下のことを決定。
・政策金利を▲0.4%→▲0.5%へ引下げ。当座預金金利適用の階層化(マイナス金利適用範囲縮小)。
・11/1より毎月€200億の資産買い入れオペ再開。ただし国毎に設定される買入対象枠の見直しは無し。
・フォワードガイダンスを、2020年前半まで→インフレが目標に収束するまで、に変更(緩和長期化)。
・長期資金供給オペ(TLTRO3)で貸出金利に対する上乗せ分0.1%をゼロに変更。
・緩和局面が終了し利上げ開始後も、償還分の債券に対する再投資を当面の間継続。
評価…満額回答の緩和策。一方ドラギ総裁が会見で「政策の主軸は財政政策であるべき」と発言したことで、金融政策でできることはやり尽くしたので、あとは財政政策へバトンタッチするとのメッセージとも受け取れる。そのため足元で浮上しつつある独の財政支出拡大の可能性に市場の注目が集まる。
《Fed:米連邦準備制度》・・・9/18のFOMCでは以下のことを決定。
・FFレートを0.25%引下げ1.75-2%へ。足元の翌日物レート急騰を受け超過準備付利を0.3%引下げ。
・ドットチャートでは年内から2020年いっぱい追加利下げ無し、2021年に利上げと示された。
評価…年内追加利下げ無しはタカ派的との見方。ただしメンバーの意見は割れており、パウエル議長が会見で「景気拡大に向け適切に行動する」と7月同様の発言をしたことで、利下げトレンド継続と見る向きもある。トランプ大統領は利下げ幅が小さいとしてFRBを「根性も分別も先見性もない」と批判。
《BOJ:日本銀行》・・・9/19の政策決定会合では現状の金融政策維持を決定。
評価…消費増税を控えているうえ9月以降株価が堅調なことから市場は日銀の判断を冷静に受け止めている。ただし、日銀は10月の次回会合で経済物価動向を再点検するとし、これを次回緩和予告と捉える向きもある。また総裁は、長期金利がどこまで低下しても容認するわけではないと発言し、イールドカーブの平たん化に対する警戒感を示唆し、翌日から日銀は長期・超長期債券の買入額を減額した。
《BOE:英国中銀》・・・9/19の金融政策委員会では政策金利の0.75%据置きを決定。
評価…不透明なBrexitの行方等を考慮し、政策温存は止むを得ない印象。
《スイス中銀》・・・9/19の金融政策理事会では政策金利の▲0.75%据置きを決定。
評価…ECB同様マイナス金利の副作用に配慮し、マイナス金利の適用範囲を縮小した。
《ブラジル中銀》・・・9/18の通貨政策委員会で政策金利の6→5.5%へ引下げを決定。
評価…米などの利下げを受け新興国に金融緩和環境が整っていたこともあり市場予想どおりだったが、年初来下落傾向の通貨レアルにとってはさらなる下落材料ではある。
世界的に金利が低下する中、ECBが今後の財政支出への期待感を示したことは印象的だった。
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