日本の財政は大丈夫か
今週のトピック---日本の財政は大丈夫か?
日本政府の債務が約1,100兆円、GDP対比200%超となっているにもかかわらず、事業規模230兆円を越える経済対策を行うことで財政は破綻しないのだろうか。足元では財政破綻を予想する向きから日経平均1万円割れ、円/米ドル300円との発言も一部見られるが、結論としてはその可能性は低い。まず真水と言われる財政支出は4月の1次補正予算が25兆円、2次33兆円で合計約60兆円程度。それに伴う新規国債発行額は32兆円増えて90兆円と政府債務が約8%増加する程度で大幅な金利水準の変化を起こすとは考えづらい。
ここで、現在の日本の社会構造と教科書的通常の社会構造を要約、比較し考えてみる。
・図1.通常の社会構造
通常は①個人の貯蓄を銀行を通して企業が借入、②事業に投資し借入金利以上の収益を上げ、③給料を個人に支払う。そして個人は給料で商品やサービスを購入し、再び貯蓄も殖やす。つまり個人のお金を使って企業がエンジン役となり付加価値を生み出している(経済の乗数効果)。
一方、図2の現在の日本では、
・図2.現在の日本 企業が既に貯蓄超過となり、銀行から借入れるのではなく預金しており、民間では企業と個人との間で貯蓄が移動するだけで、言わば商品サービスと給料の物々交換状態で経済の乗数効果が生まれず社会が縮小均衡に向かう。国は国債発行で預金が集まる日銀の当座預金から借金をして、景気対策や社会福祉関連などの事業を行い企業の代わりに経済の乗数効果を狙う。ただし、借入金利がマイナスのため投資収益はゼロ%でも良く日本のGDP成長率は低下する。
つまり国が企業に代わり経済の成長を図るので、政府債務を通常の企業債務と考えれば、少々増加してもよい。そして、金利か物価が急上昇する、あるいは日本に見切りをつけて貯蓄が海外流出しない限り、企業と個人の貯蓄合計額2,400兆円まで政府は借り入れを増やす余地がある。
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