コロナ後の日米欧株価
新型コロナの感染拡大により急落した世界の株式市場は、FRBを中心とした中央銀行の異例の緩和政策や各国・地域の大規模な財政政策を受けて、3月下旬以降回復基調。5月以降は、米欧を中心に緩やかながら行動規制の緩和と経済の再開が始まったことなどを受けS&P500は第2四半期に20%上昇し、四半期ベースの上げ幅は1998年第4四半期以来の大きさとなった。足元の経済指標および企業収益はまだ回復していないため、予想株価収益率(PER)をみると日米欧ともに割高だが、市場予想通りに今後世界経済は回復するのだろうか。
<新型コロナ禍はいつまで> レムデシビルやアビガンなどの治療薬に続き、新形コロナの感染を抑え込む切り札となるワクチン開発が世界中で進んでいる。先週は世界のワクチン市場の70%を占めるインドにおいてアストラゼネカにより開発されたワクチンを2021年にも4億回分提供すると発表された。足元で感染第2波のリスクは燻るものの、治療薬およびワクチン開発の状況から今後2年以内に新型コロナの鎮静化に成功しそうだ。
<各国・地域の経済対策は> 世界各国・地域が打ち出した新型コロナに伴う経済対策は総額10兆ドルを突破し、史上最大規模に膨らんだ。経済対策が世界のGDPに占める割合は、金融危機が深刻化した2009年の1.7%に対しすでに2倍以上との試算もあり、仮に新型コロナ鎮静化に成功すれば市場予想を上回る景気回復となる可能性もある。下表は5月時点の日米欧主要国による経済対策のGDP比。
<米国株> 国別の経済対策額は3兆ドルとトップ。加えてコロナショックにより世界で社会構造の変化が起きた場合、世界中の経済対策による恩恵を最も受けるのは米ハイテク関連企業との見方が強く、ハイテク銘柄を中心としてさらなる米株上昇が予想される。
<日本株> GDP対比では40%と断トツで、新型コロナが鎮静化したときの経済押上げ効果は特に大きい。新型コロナ致死率が低く、感染第2波となっても耐性の高さが期待され底堅い株価推移が見込まれる。
<欧州株> 現在欧州委員会により提案されている7,500億ユーロの復興基金はユーロ圏経済のGDPに対し6%で、実行された時のインパクトは大きい。加えて、今まで南北に偏在する経常黒字が平準化されることで、欧州経済全体の安定化も期待でき、日米株に遅れをとる欧州株にとって追加の支援材料となる。
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