コロナ後の先頭ランナー
2019年11月に中国の武漢市で最初の新型コロナの感染者が報告されてから、2020年1月に移動制限、3月には経済活動を徐々に再開と、良くも悪くも中国はコロナショックの先頭を走る。
図1は日米欧中の総合購買担当者指数(PMI)の昨年末からの推移。PMIは企業の購買担当者らの景況感を集計した景気指標で一般的に鉱工業生産や雇用統計などの統計よりも景気先行性があるとされ株式等の運用担当者の注目度が高い指標のひとつ。この図を見ると中国のPMIは3月にすでに景気拡大と後退の分岐点となる50を再び上回るなど、景気回復に関しても先頭ランナーと見られる。
一方、図2に示した日米欧中の株価指数は、中国PMIが回復した3月を底に揃って上昇しているものの、上げ幅に関しては中国は劣後気味だった。ところが6日の中国証券報が1面の論説で、「健全な強気相場」を促進することが今こそ重要だと訴えた。もともと中国は他国に先駆けて景気回復を遂げており企業利益も持ち直しているところに、中央政府が背中を押す形で、株価は一種の官製相場の様相を呈しつつ急上昇となった。上昇ピッチが急なうえ、2014年には、国営メディアが中国株高をはやし立てた後にチャイナショックを迎え株価急落となった経験から、今回の上昇も懐疑的にみる向きもある。
しかし米国ではコロナ禍による社会活動の変化をとらえるハイテク銘柄が主導する形でナスダックが最高値を更新するなど、コロナ後の技術革新に期待する投資家は多い。図3は過去10年間の日米中の特許出願件数だが、中国は既に世界1位。技術革新の中心が今後中国に移っていくとしたら、今回の中国株高はまだ始まったばかりかもしれない。
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