米大統領選 その2

米民主党大会が開催され、バイデン前副大統領とハリス上院議員が民主党の大統領、副大統領候補として正式に指名され、改めて共和党の現職トランプ大統領、ペンス副大統領と残り約80日の大統領選を戦うことになった。8月月初の段階では新型コロナ感染対策や人種差別問題への対応のまずさからトランプ氏が支持率を落とし、バイデン氏が10%近くリードするなど政権交代も視野に入っていたが、足元ではトランプ氏が巻返し支持率はほぼ五分五分の状況だ。

トランプ氏の支持率再上昇の要因としては、熱烈なバイデン氏支持者がいないことが挙げられる。つまりバイデン氏が支持率を上げれたのはもっぱら敵失によるもので、いわばトランプ以外なら誰でも良い的な支持を集めていたが、そもそもバイデン氏の中道路線は際立つ特色がないということだろう。また対中融和路線をとったオバマ政権の副大統領だったことは、香港問題などで対中強硬派の意見が強まる中では不利に働くほか、有色人種と女性票獲得を期待されるハリス氏はハイテク企業とのつながりが強く、左派色が強い民主党の主張と矛盾し、一般庶民への支持拡大につながっていない、などが指摘されている。

それぞれの政策を比較すると以下のようになる。

トランプ氏 政策分野 バイデン氏

経済対策さらに1兆ドル

給与税とキャピタルゲイン課税の減税 経済・税制 法人税率を21%から28%へ

富裕層への課税強化

中国以外にも関税強化など米国第一 外交 TPP再交渉など同盟国との関係強化

関税に加えハイテク企業に制裁 対中国 同盟国と共同で圧力

規制緩和で石油ガス施設の建設推進

パリ協定離脱など温暖化には無関心 エネルギー・環境 グリーンニューディールを掲げ、環境インフラに4年で2兆ドルの投資

大手ITはリベラル寄りとして規制強化

5G関連では米企業に補助金や規制緩和 IT ハリス氏の影響もありIT企業と連携

研究開発等に4年間で7千億ドル投資

このように並べてみると、「米国第一主義」を掲げるトランプ氏と、「より良い復興(Build Back Better)」をスローガンとするバイデン氏の政策は正反対にも見え、好き嫌いがはっきり分かれそうだ。株式市場では、トランプ大統領=現状維持+追加の経済政策と減税となり、株式は買われやすいが国債のさらなる増発が警戒される。一方で、バイデン新大統領=環境、IT関連への投資が期待できるが、財源としては増税、との見方が強く、バイデン氏有利となれば株式市場は一旦売られるとの予想もある。先に指名受託演説をオンラインで行ったバイデン氏は、トランプ政権をパンデミックと、経済危機、人種問題、気候変動の4 つの闇をもたらし、自分はそれら闇に代わり光をもたらすとした。一方のトランプ氏は、対面混合型で27日に「米国第一主義」に沿った受諾演説を行う予定。

現在支持率は拮抗しており、前回2016年の大統領選(トランプvsクリントン)の時と同じく予断を許さない状況が続く。

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