自民党総裁選

自民党は1日の総務会で、体調不良で辞任を表明した安倍首相の後継総裁を両院議員総会で選出することを決定した。結果、今回の総裁選では、党員投票は行われず、国会議員票394 票、地方票141票(47都道府県連代表に各3票割り当て)の計535票で争われる。総裁選の日程は9月8日告示、14日投開票と決まり、その後、自民党は16日に臨時国会を召集し、衆参両院で首班指名選挙を行う。

ここで、総裁選に立候補を表明している、菅官房長官、岸田政調会長、石破元幹事長の主だった政策を比較した。

政策分野 菅(自助、共助、公助) 岸田(分断から協調へ) 石破(納得と共感)

アベノミクス全般 継承 継承(効果を中間層へ) 見直し

新型コロナ対策 経済との両にらみ PCR検査拡充 強制力伴う特別措置法

税・財政政策 積極財政を維持 財政健全化を目指す 消費税減税を主張

外交政策 日米同盟が基軸 核軍縮など地球規模で 対等な日米同盟

菅氏は、安倍政権で7年8か月という官房長官歴代在任最長記録を樹立しており、政策の継続性からコロナ禍において政治の空白期間を最短に留めることができると主張している。岸田氏も安倍政権で主要ポストを務めたため、政策は基本的にアベノミクス継承で菅氏とあまり大きな隔たりはないものの、財政健全化を掲げており、市場には将来的な財政支出縮小や増税への警戒感がある。安倍政権と距離を置く石破氏は、税・財政政策を中心にアベノミクスを全般的に見直す意向で、金融政策に関しても日銀の大規模資産購入に疑問を投げかけるが、当面は現状の緩和政策を継続するとしている。元防衛大臣経験者として対中強硬派と思いきや、習主席の国賓来日に固執するなど、外交面では親中派の二階氏に近い面もあるようだ。

過去の総裁選では、2001年の小泉元首相のように党員投票で地方票を集めた結果、下馬評を覆して当選した例もあるが、今回は党員投票は行われないため「派閥の論理」で総裁が決まりそう。現在本命と見られる菅氏は、無派閥ながら党内7派閥のうち5派閥(264名)の支持を固めたとされ、無派閥(64名)に所属する支持者も加えると過半数となりそうで、決選投票なしで当選の可能性が高いと思われる。

菅総裁誕生となれば、次の焦点は組閣や解散時期に移ろう。組閣に関し特に金融市場で注目されるのは外務大臣、経済産業大臣および財務大臣か。外務大臣は米大統領選を控えていることと功労人事を考慮すると竹下派の茂木氏留任か。経済産業大臣は、旧通商産業省の元職員で総裁選出馬を見送った細田派の西村経済再生担当大臣の横滑りを予想。財務大臣は、現職麻生氏は、元首相経験者でありながら盟友の安倍首相をサポートするためとして引き受けたものなので留任の可能性は高くない。一方で、麻生氏以外で金融に明るい閣僚となると難しい人選となりそうで、個人的には注目している。

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