レバレッジ型投資商品

インデックスを対象とするレバレッジ型投資商品は、個別銘柄を選ぶ手間が省けるうえ日経平均など原指標より大きく値上がりするチャンスもあって、リスクを好む個人投資家の間で人気があるようだ。しかし、その仕組みと値動きの特性は思ったほど理解されていないかもしれない。

<日経平均インデックス連動型上場投信(日経レバ)>

表1は原指標となる日経平均と、日経平均の2倍の値動きとなる日経平均インデックス連動型上場投信(日経レバ)の価格推移を3日間シミュレートしたものだが、日経レバの値動きは必ずしも原指標に連動しない。表中で日経平均は3営業日で10,000円から10,800円へと8%上昇しているが、日経レバは2倍上昇するどころか2%下落している。何やらキツネに摘ままれたようだが、レバレッジ型投資商品の仕組みを考えればこの値動きは理解できる。日経レバでは、運用会社は値動きが原指標の日経の2倍となるように日経先物を額面の2倍購入している。

仮にスタート時の日経レバの基準価格を10,000円とすると、運用会社は日経先物を20,000円購入する。1日後に日経が20%値上がりすると日経先物は24,000円となり、日経レバの価格は先物の評価益4,000円が充当され14,000円となる。この時点で日経レバの2倍は28,000円となるので、運用会社は日経先物を4,000円分追加購入しなければならない。2日後に日経が25%下落した時は逆の現象が起きるため、日経先物を7,000円分の売却する必要がある。このように見ると相場が上昇して日経先物購入、下落して日経先物売却を繰り返すことになるため、相場の上下動が激しいと損失が膨らみやすいと考えられる。したがって、レバレッジ型商品は長期保有というより、相場が一本調子で動くような短期間の勝負に適した投資商品と見ることもできよう。

<S&P500 VIX 先物インバースETN(VIXインバース)>

2018年2月5日(米国時間)に米国株が大きく下落し、S&P500 VIX 先物指数が大きく上昇。その結果、日本時間2月6日早朝にS&P500 VIX 先物インバースETN(VIXインバース)が急落、基準価格は前日終値(3万円)の20%以下(1,144円)となり早期償還条項に該当したため、即上場廃止、投資家が多額の損失を被ったことは記憶に新しい。実はこれもレバレッジの落とし穴だった。このETNでは、運用会社はS&P500のオプション売りを利用し、ボラティリティー(Vol)が低下すると利益が出る仕組み。一般的に、運用会社は相場の上下にあまり影響されないように現在価格(ATM)から行使価格の遠いコールとプットの両方売っているが、Vol低下とともにオプションプレミアムが減少する一方、ETNの基準価格は上昇するためオプションの売りを増やさねばならない。Vol上昇では逆にオプションを買い戻す必要があり、結果として日経レバ同様に高いVolでオプション購入、安いVolでオプション売却を繰り返すことになる。2018年は前年末からVolは低下傾向だったため、運用会社がオプションの売りポジションを増加させていたところでVol急騰となり運用資産の大部分を吹飛ばす結果となった。 

レバレッジ型投資商品は便利な一面もあるが商品内容をよく理解して投資判断を行いたい。

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