コロナワクチンの特徴

新型コロナウィルスに対するワクチンが実用化し、英米中ロなどで大規模な接種が始まった。ワクチン開発には通常3~5年かかると言われるが、今回は研究機関、製薬会社が総力を挙げた開発により1年以内という短期間での開発・実用化となった。もちろんその背景には、強力な感染力でパンデミックが世界中に広がる事態を食い止めるため、各国政府による異例のワクチン早期承認があるわけだが、スピードを重視したため副作用など安全面での心配が残っており、もし選べるのであればどのワクチンを接種すべきか悩むところだ。

今後、金融市場において、感染者数の増減に加えワクチンの効果測定計数に一喜一憂する日も近いと考えられる。ここで実用化されたものも含め、開発中のワクチンの特徴を表1に示した。

タイプ mRNA DNA ウイルス

ベクター 組換え

たんぱく質 不活化 弱毒化

仕組み 新型コロナのたんぱく質を発現する核酸(メッセンジャーRNA)を投与 新型コロナのたんぱく質を発現する核酸(プラスミドDNA)を投与 別のウィルスに新型コロナの遺伝子を搭載して投与 植物や動物細胞で作ったウィルスのたんぱく質の一部を投与 ウィルスを熱や化学物質で不活化して投与 ウィルスの病原性を人工的に弱めて投与

メリット ・ウイルスを使わないので安全

・設計、製造が早い ・ウイルスを使わないので安全

・設計、製造が早い ・一部感染症で実績あり

・設計、製造が早い ・ウイルスを使わないので安全

・人での使用実績あり ・人での使用実績あり

・既存のシステムを活用でき安価 ・様々な使用実績あり

・既存のシステムを活用できる

デメリット ・人での使用実績なし

・低温輸送、保管が必要で高価 ・人での使用実績なし

・副作用の予測が難しい

・効果が弱い ・複数回投与が難しい

・安全性への懸念 ・製造が複雑で難しい

・効果が弱く、免疫増強剤が必要 ・ウィルス培養が必要

・効果が弱く、安全性への懸念 ・病原性のあるウィルスによる安全性への懸念

・開発が遅い

ワクチン ・ファイザー

・モデルナ

・サノフィ

・第一三共 ・アンジェス

・タカラバイオ ・アストラゼネカ

・J&J

・メルク

・ガマレヤ

・IDファーマ ・サノフィ

・ノババックス

・塩野義 ・シノファーム

・シノバック

・KMバイオロジクス ・コーダジェニックス

すでに実用化されているワクチンは、ファイザー、モデルナ、シノファーム、ガマレヤなどで、日本では塩野義とアンジェスの2社が治験段階にある。昨年は臨床対象となる感染者が日本国内に少なかったせいもあり海外勢にやや出遅れている。

 日本でも2月から接種開始予定であるが、各ワクチンの有効性(感染予防、発症予防、重症化予防の能力)のほか、免疫の持続期間、変異種への効果など、実用化以降の諸問題もあり、新型コロナ感染リスクの完全制御には未だ時間が必要だろう。

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