欧州で新型コロナ感染再拡大
感染力を強めた変異種の影響もあり、欧州を中心に新型コロナ感染が再拡大している。WHOは感染再拡大は公衆衛生措置の緩和や人々の慣れによるところもあると指摘しており、仏、伊に続き独も3/28期限のロックダウンを4/18まで延長することを決定した。市場は、株価下落と金利低下などウィズコロナへと逆戻りするかのような反応を見せているが、一方でワクチン接種が進む国では感染は確実に抑制されつつあり、世界がアフターコロナへと向かっていることは確かなようだ。
図1は各国地域の感染者数とワクチン接種者数(少なくとも1回接種した人)の人口比(%)を示しており、ワクチン接種が進む英(40%)、米(25%)では感染者の増加ペースは鈍化していることが分かる。
一方、ユーロ圏ではワクチン接種が人口の約10%と英米ほど進んでおらず、感染者数の鈍化傾向は確認できない。但し、グラフの形状を見るとワクチン接種が人口の20%を越えると感染抑制効果が出てくるように見え、現状の接種ペースであれば6月頃には欧州で感染者の鈍化が予想される。変異種への有効性の問題はあるが、基本的にワクチン接種が進めば、地球規模でアフターコロナへ向け経済の正常化が進むことが期待できる。問題はワクチン接種のペースであり、大統領がワクチン接種に前向きではないブラジルでは接種比率は約5%にとどまり、加えて人々が比較的自由に移動するため変異種の感染が拡大し(*)、1日当たり感染者数、死者数ともに世界1位。
ところで昨年来の世界各国による巨額な財政支出拡大の効果は、世界中に張り巡らされたサプライチェーンにより、経済を正常化に近づけた国から早い者勝ちでその恩恵を被ることができると考えられる。ここで各国の株価動向を見てみると、3月入り後、主要株価指数は変異種の感染拡大もあり頭の重い展開であり、特にブラジルの株価は年初来低迷が続いている。一方でコロナ感染再拡大を懸念する欧州も、ワクチン接種では人口比10%と先頭集団に属しており、中国の6%、インドの4%、日本の0.6%、世界平均の6%よりも高い。今後ワクチン接種が順調に進めば、欧州経済はコロナ禍脱出の先頭集団として回復基調に乗り、株価も再び上昇基調に戻ると思われる。また脱出ランナートップの中国株価は昨年夏場以降、頭の重い展開が続くが、すでに昨年中ごろには感染者数が抑えられており、アフターコロナ特需を見越した株価の上値局面は昨年8月で一旦終わっているのかもしれない。
*ウィルス変異は一種のコピーミスなので、一般的に感染を繰返すと発生しやすい。
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