欧州株
欧州ではコロナ感染再拡大を受け、独、仏、伊が再びロックダウンを実施するなど、依然としてコロナ禍からの出口が見通せない状況だが、なぜか株価は堅調。欧州を代表する株価指数ユーロストックス50の年初来上昇率は11%とS&P500の7%やTOPIXの9%を凌駕しており、その理由を考えてみる。
表1はユーロストックス50に加え日米中の主要インデックス(TOPIX、S&P500、上海総合)の株価評価指標の一覧。株価は将来の企業収益にリンクして動くので、まず収益面からの評価として株価収益率(PER)を比較してみると、ユーロストックス50の割高さが目立つ。ただしPERの算定に用いる企業収益は過去実績であり、将来見通しをもとに算定する調整予想PERで見ると、ユーロストックス50は19倍と割高とはいえない。改めて足元までの動きを確認するため、コロナ禍前の2020年1月時点を1とした調整予想PER推移を図1に示した。これを見ると昨年3月のコロナショックで一斉に株式が売られ予想PERは下落したが、その後急速に回復。2020年末には決算発表に伴う新たな収益予想を反映しユーロストックス50の予想PERは急低下したが、足元では2020年1月対比1.2倍と20%アップで日米中とほぼ同レベルにある。この水準はコロナ対策として実行された各国緊急財政支出総額(約16兆ドル)が世界のGDP比17%だったことを考えるとおよそ整合がとれており、欧州株が割高というよりは米株が金利上昇や米ドル高の影響で伸び悩んでいると考える方が分かり易い。
次に収益より変動が小さい保有資産に対する株価を表す株価純資産倍率(PBR)で比較すると、万年割安なTOPIXほどではないがS&P500ほどの割高感はない。また配当利回りで見ると1.98%とS&P500やTOPIXより高い、またトップの上海総合は2%越えだが中国の政策金利は2%を越えているため、配当のお得感ではユーロストックス50に軍配が上がると言える。
先週当欄で指摘した通り、今後欧州のワクチン接種が順調に進み、中国、米国に次ぐコロナ禍からの脱出ランナー3番手として欧州の景気が本格回復となれば、予想収益の上方修正と共に欧州株のさらなる上昇が期待できよう。
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