米消費者物価指数(CPI)の見通し

足元では昨年来の各国における財政支出拡大に伴い物価上昇(インフレ)懸念が高まっており、実際に米国の3月消費者物価指数(CPI)は前年比+2.6%とFRBの目標値2%を超え、前月比でも+0.6%と9年ぶりの伸びとなった。金利も先行きのインフレを織込む形で年初から上昇傾向にあり、一時は米10年金利が1.8%台に達する動きとなったが、ここで今後の米CPIの動きを予想してみよう。

CPIは各国政府等が毎月発表する統計で、消費者が購入するモノやサービスなどの価格の動きを把握するための統計指標。自動車、TV、食料品などのモノに加え家賃、通信費なども含めた価格を総合的に指数化(CPIインデックス)したもの。性能や品質の向上による調整や対象品目の見直しも定期的に行っており、実質金利(年率)を求める際に利用されることから、前年比で語られることが多い。

図1は米CPIインデックスの推移だが、コロナショックを受けた2020年3月は2014年末の原油価格の急落時(100ドルから50ドルへ)以来となる大幅下落となった。つまりその丁度1年後となる2021年3月の前年比で見たCPI上昇率は、コロナ禍で物価が下落した2020年3月との比較となるため高い上昇率になり易いことになる。ここで仮に図中Aラインのように2021年4月以降CPIインデックスが3月の264.8と同じ値で横ばい(CPI上昇率が前月比で0%)になったと仮定した場合、CPI前年比上昇率の予想値は、表1より4月3.4%、5月3.5%となる。ところで CPIは一般的にGDP成長率にリンクして上昇するため、CPIインデックスは右肩上がりになる。米国では直近10年間のCPI上昇率は年率2%程度と計算され、月平均に直すと0.17%。これを用いたCPIインデックスの予測は図中Bラインとなり4月、5月のCPI前年比は3.5%、3.8%となる。さらにCPIが3月同様に前月比0.6%のペースで上昇した場合のCPIインデックスは図中Cラインとなり、CPI前年比は4.0%、4.7%となる。

アフターコロナを見据え消費が活性化し、ここで試算したように4月以降にCPI上昇率が前年比4%超となった場合、米金利の一段の上昇が予想され経済活動への影響が懸念されることになる。一方で、パウエルFRB議長の想定は図中Bラインのようにインフレは一時的に高まるものの来年に向けて落着くとしているが、はたして見立て通りとなるだろうか。

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