〇〇ショックあれこれ
コロナ対策と称して世界中で財政支出が拡大された影響もあり、株など様々な資産価格が過去最高値を更新、FRBも最近では資産価格下落の可能性に言及している。歴史的には、資産価格の大幅上昇の後には何らかの理由により急落(所謂〇〇ショック)が起こっている。ここで過去のショックを振り返り、今後の備えとしたい。
① 暗黒の木曜日(1929年10月24日)…第1次世界大戦終結と共に戦場とはならなかった米国で投資ブームが拡大し、株式、不動産価格が急上昇。その後、まず不動産バブルがはじけ、続いて株価が急落、世界恐慌へと繋がった。
② ブラックマンデー(1987年10月19日)…米国がインフレとドル高に伴う貿易赤字に苦しむ中、先進5カ国(G5)は1985年のプラザ合意でドル切り下げを断行。その後ドル安と双子(財政と貿易)の赤字への警戒感が高まり株価は反転、プログラム売買の売注文を巻き込み米国株が急落。
③ バブル崩壊(1990年1月)…日本国内で進む資産バブルにも拘わらず、プラザ合意による円高もあり日銀は金利引き上げを回避。その後一転して1989年5月から1年3ヶ月の間に2.5%から6%へ急激な公定歩合引き上げを行ったため、1989年12月29日大納会に最高値を付けた株価は、年初の大発会から反転。
④ LTCMショック(1998年10月)…好調だった東アジア諸国が米ドル上昇により債務返済の危機に陥り、アジア通貨を中心に新興国通貨全般が急落。金融工学を駆使し大量のレバレッジを用いてクレジット資産を大量購入していたヘッジファンドLTCMが破綻、ドル安と共に株価が急落。
⑤ ITバブル崩壊(2000年3月)…インターネットの発展によりベンチャー系ハイテク企業株が急騰。その後、米利上げを契機に株価は反転、2001年9月には米同時多発テロもあり下落幅を拡大。
⑥ VaRショック(2003年6月)…日本では2001年以降、日銀のゼロ金利政策下で金融機関は大量の長期債を購入。その後10年債入札で札割れが発生、標準偏差でリスク管理(VaR)していた金融機関のリスク指標が急上昇、債券の投げ売りが発生し10年金利は2ヶ月で1%上昇。
⑦ リーマンショック(2008年9月)…信用力が低い層に対する住宅ローン(サブプライムローン)を束ねた金融商品の格付けに疑念が生まれ、ローン価格が急落。積極的に投資していた米投資銀行が破綻。世界的な金融危機へと発展した。
⑧ バーナンキショック(2013年5月)…バーナンキFRB議長がリーマンショック以降に膨らんだバランスシートの適正化に向け量的緩和の縮小を示唆。これを受け米金利が急上昇、株式は急落。
⑨ チャイナショック(2015年8月)…中国は長期に亙る経済成長とそれを上回る株価上昇を続けていたが、2015年8月11日に突如、中国人民銀行が人民元の対米ドルでの基準値を大幅に引き下げた。これを受け中国株が急落、その後世界同時株安へ繋がった。
⑩ VIXショック(2018年2月)…株価上昇への楽観論が広がる中、米株式市場の予想変動率を反映するVIX指数が突如、投資家の想定以上に急上昇した。Volatilityをショートしていた多くの投資家が大幅なロスカットを強いられ、株価急落。
⑪ コロナショック(2020年3月)…中国武漢で原因不明のウィルスによる肺炎が発見され現在進行中。「歴史は繰り返さないが韻を踏む」という格言があるが、今回はどの韻を踏むのだろうか。
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