日米欧経済

・米国

5月の鉱工業生産は自動車セクターが持直した影響で4月から加速した一方、小売売上高は4月から減速、週次の新規失業保険申請件数も7週ぶりに悪化するなど、堅調だった米経済指標にも一部息切れが見られる。FOMCでは金融政策の現状維持が決定されたものの、テーパリングの協議開始を示唆、加えてメンバーによる金利予想で2023年末までに2回の利上げを想定するなど政策スタンスはタカ派的だった。バイデン政権はG7、米ロ首脳会談を経て中国包囲網を進めており、今後の対中戦略が注目される。

・欧州

ユーロ圏4月の鉱工業生産は上振れコロナ禍前の昨年2月に迫る水準まで回復した。消費関連も回復基調だが、コロナ変異種感染拡大の影響で英の行動制限が4週間延期になるなど経済の完全正常化にはまだ時間がかかりそうだ。経済再生を目指す復興基金制度の財源となる欧州復興債は、第1弾としてAAA格の10年債をシ団方式で200億ユーロ発行、7倍の需要を集めるなど順調な滑り出しとなった。足元のEU経済は中国依存を強めており、今後の経済運営は対米関係を踏まえ難しいかじ取りを迫られそうだ。

・日本

4月の機械受注は予想対比で下振れたものの、建機や半導体装置の受注が堅調で2ヶ月連続のプラスとなった。5月の消費者物価指数は、生鮮品を除くコア指数は同0.1%と14ヶ月ぶりにマイナス圏を脱した。ただし物価上昇圧力は欧米と比べ弱く、日銀は政策決定会合で金融政策の現状維持を決定、コロナ対応プログラムの期間を来年3月まで延長するなど、日本でのテーパリングまでの道のりは遠い。足元でのワクチン接種の進捗は順調、五輪開催は既定路線になりつつあり、経済正常化への期待が高まる。

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