日本株を再考する
かつての日本株は米株に追随する動きしかしないことから、米株のナイトセッションなどと揶揄されたが、足元では最高値更新を続ける欧米株に対し日本株は下落基調。これなら米株を追随するだけの方がまだましだったなどと恨み節も聞こえてくる。なぜ日本株が欧米株の上昇についていけないかについては、足元で広がるコロナ変異種の影響や潜在成長率の低さ、頭打ち感の拡がる中国経済の影響など多くの要因が挙げられるが、思い返してみると2008年のリーマンショック後も欧米株がいち早く立ち直る中で日本株は低迷した。当時はその後の東日本大震災の影響もあったが、そもそも日本企業は危機からの脱出が苦手で遅いようだ。危機をチャンスと捉え新しいビジネスをどん欲に追及する欧米企業に対し、リスク回避を優先しサラリーマン型とも呼ばれる日本企業のフットワークは重い。逆に言えば、このような局面においては、アニマルスピリットに溢れフットワークも軽く決断の早いオーナー型企業、あるいはいっそのこと外国人をトップに据える外国人経営型企業の株を購入すれば良いことになる。
そこでオーナー型企業と外国人経営型企業に絞って投資する仮想ファンド(仮称:脱サラファンド)を組成して、直近3年のパフォーマンスをシミュレート、TOPIXと比較してみた。具体的にはオーナー型企業に集中投資する既存ファンドの2019年末時点での投資先上位10社と2019年の外国人役員報酬が多かった上位10社の計20社を選択、トレードコスト・配当は考慮せず、運用手法は各銘柄の均等金額投資、銘柄入替なしのリバランスありとした。
図1は「脱サラファンド」とそのうちオーナー型10社、外国人経営型10社を抽出した計3ファンドおよびTOPIXについて、2018年の運用開始時を100としてその後3年間のパフォーマンスを示したもの。これを見るとコロナショック以前は運用結果に大差はなく、通常業務を卒なくこなすサラリーマン型の多いTOPIXや外国人経営型がしっかり。一方でコロナショック後はオーナー型のパフォーマンスがTOPIXを凌駕。外国人経営型はコロナ後にTOPIXを上回るもののオーナー型には劣後しており、合議制による決断の遅さなどの弊害が影響しているのかもしれない。
この「脱サラファンド」は、オーナー型、外国人経営型の特徴が上手くブレンドされ、コロナショックを経てパフォーマンスはTOPIXを安定的に上回る。今回の設定では保有銘柄を固定としたが、通常の投資手法である一定期間毎の銘柄見直しや傾斜配分等を採用すればさらなるパフォーマンスの向上も狙えると思われる。
足元では、ここしばらくの株価低迷から日本株投資をあきらめ、上昇基調が続く米株に乗り換える投資家の動きが見られるが、アニマルスピリットを持つきらりと光る日本株銘柄を探し出し、将来の成長に期待してみるのも投資の醍醐味といえよう。
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