日米スター銘柄

新聞によると、今年7月にGAFAと呼ばれる米スター銘柄4社(Google,Apple,Facebook,Amazon)の時価総額の合計が日本株全体の時価総額を上回り、現在も格差拡大中だそうである。GAFAの上昇幅は米株の中でも大きく、過熱を示すサインである先導株比率(株式市場出来高のうち上位10銘柄の占める割合)を引上げるため、以前なら市場で高値警戒感が生じるところだ。この投資対象が集中する傾向は日本でも見られ、日経平均指数も特定銘柄の価格変動による歪みが指摘されている。そこで気になるのは、米株は史上最高値を更新中だが、それは果たして米株全体が好調なのか、それとも実は一部のスター銘柄によって株価全体が持ち上げられているだけなのかという点。そして、そのような傾向は日本株でも同様なのかである。そこで、米国の代表的スター銘柄指数のFANGプラスとそれらを除いたナスダック指数、および日経平均指数の構成比率上位10銘柄とそれらを除いた日経平均指数の各指数の推移を図1に示した。グラフを見ると、日米ともにスター銘柄10社の株価上昇は、それを除いたナスダックや日経平均指数を明らかに凌駕している。

ただし米株についてみると、FANGプラス指数が設定来3年間で約3倍と急上昇しているのに対し、それを除いたナスダック指数も約1.5倍と上昇率は高く、スター銘柄ほどではないにしろ全体的には高成長していると見ることができる。

一方、日本株について見ると、スター銘柄の上昇率は3年間で約1.5倍と米株に引けを取らないパフォーマンスだが、足元では失速している。これは業績好調な日本企業は往々にして中国関連で利益を上げていることが多く、年初来減速傾向にある中国景気の悪影響を受け易いと市場が見ているせいかもしれない。また、スター銘柄を除いた日経平均指数は3年間では結局下落しており、世界全体で約1,500兆円におよぶコロナ対策の財政支出や金融緩和の恩恵が日本企業には及びづらいと見なされているようだ。

こうしてみると、米国は経済全体が成長する中で一部企業の成長スピードがさらに加速している一方、日本は経済全体が低迷する中で一部企業が中国経済成長の恩恵を受けているという構図のようだ。   

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