株式市場のアノマリー
米国では感謝祭とブラックフライデーからクリスマスに至る期間は、1年のうちで小売業界が最も売上げを見込める期間とされ、それ故、株式市場では11~12月は小売業中心に株が買われ易いというアノマリー(ハロウィーン効果)がある。ここで日米欧株価に関する月別のアノマリー(理論的根拠はないが、よく当たる経験則)を調べてみた。下表は日経平均、S&P500およびユーロストックス50(ユーロ50)の過去40年間(ユーロ50は35年間)の各月の値上がり確率(上昇確率、表1)と平均値上がり幅(騰落率、表2)である。
まず各株価指数の月別の値上がり確率(表1)だが、これを見ると、基本的に長期に渡り上昇基調が続く米株は月別の確率が高め(平均63%)。ただし10月以降年末にかけては米株だけでなく日欧株も値上がり確率が高い。これは米国におけるブラックフライデー(感謝祭の翌日)だけでなく、世界的なクリスマス、日本の歳末セールといった小売イベントが年末にかけて集中、消費の盛上りと伴に人々の移動も増加しサービス業の活況の相乗効果も影響している可能性があろう。また年前半を見ると4月を中心に各指数の値上がり確率は高く、特に米株は年初から5月まで値上がり確率が高い。米国ではセルインメイ(株は5月に売れ)という格言があるが、6月から9月の50%前後の数字を見ると確かに5月末に一旦売るという戦略は過去有効だったようだ。
各株価指数の月別の平均騰落率(表2)だが、やはり11月から年末にかけての値上がり幅は日米欧株ともに比較的大きい。一方で10月の値上がり幅は小さく、特に日本株はマイナスなので、11月月初に株を購入して年末に売る戦略が有効かもしれない。また年前半に目を向けると、各指数とも総じて値動きが小さいが、4月だけなぜか上昇確率とともに値上がり幅も大きく、年の前半は3月に株を買っておけということになるようだ。
さて、今年は年末にかけて日本は衆院選後のハネムーン期間入りとなる。これは新政権のスタートにあたりメディアが多少のマイナス面には目をつむり好意的な報道が増えるため、株式市場も政治面の安定を好感して株価が上り易くなるという、アノマリー。実際、2000年以降の衆院選後100日間の日経平均の平均騰落率は約8%だった。さらにこの年末は新型コロナ禍からの脱出局面にあり、ここまで巣籠りと国の支援金により積み上がった現・預金が、行動規制緩和とともに一気に消費に向かう(リベンジ消費)可能性がある。ハロウィン効果など毎年恒例のアノマリーに加えて、今年はこれら特殊要因もあることから、例年以上の年末ラリーが期待できるかもしれない。
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