日米欧経済

・米国

注目された2月の消費者物価上昇率は、予想通り前年比7.9%と40年ぶり高水準となった。食料品、住居費、ガソリンなどが牽引したが、今後はウクライナ情勢を受けてさらなる上昇が予想される。米政府はロシア産原油の輸入を禁止する一方、戦略石油備蓄の放出や天然ガスの増産を加速させ、エネルギー需給の緩和に動く。経済制裁では金融や貿易分野に加え、ロシア関連ビジネスを進める各国企業に事業自粛を要請、ロシアを経済面から追い詰める。足元では対ロシア制裁への国民の支持は厚いが、今後は制裁長期化に伴う経済への悪影響、また政府への不満の高まりが懸念される。

・欧州

独1月の製造業新規受注および鉱工業生産は、供給制約の緩和による自動車や建設関連が牽引し堅調だった。一方でウクライナ情勢が深刻化する中、欧州では地政学リスクの高まりを背景にロシア依存度の高いエネルギー価格が上昇、今後ロシア関連ビジネスのさらなる業績悪化や対ロシア債権の毀損が予想される。ECB理事会では、ウクライナ情勢を警戒しつつも、足元のインフレ加速を受け資産買入プログラムの早期終了を決定、年内利上げの可能性も示唆。ロシアリスクとインフレ加速により、欧州経済は当面の間、視界不良の状況が続く。

・日本

10-12月期のGDP成長率改定値は、設備投資や個人消費の下方修正を受け速報値の5.4%から下振れた。世界的な物価上昇の影響により企業間で取引するモノの価格は上昇しており、2月の国内企業物価は前年比9.3%と41年ぶりの高水準。企業によるコスト削減は限界に近づいており、消費者物価の上昇が予想される。今後、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化すれば、エネルギーや食料品価格の上昇に加え、サプライチェーンの分断に伴う生産活動への悪影響も懸念される。

0コメント

  • 1000 / 1000