日米欧経済
・米国
4月の購買担当者指数は製造業は堅調だったが、サービス業は下振れ。4月フィラデルフィア連銀製造業景気指数も低迷するなど、供給制約とインフレの影響で経済全般に減速感が見られる。パウエルFRB議長は「労働市場は過熱しており、インフレ抑制のため5月会合では0.5%の利上げも選択肢」とタカ派スタンスを維持。バイデン政権はウクライナへの8億ドルの追加軍事支援に加え5億ドルの財政支援を発表、中間選挙を控え庶民の関心が高いインフレ対策と知識層が注視する外交戦略の難しいかじ取りが続く。
・欧州
ユーロ圏4月の購買担当者指数は、サービス業指数は3月から上振れたものの製造業は下振れ。行動制限の緩和で消費が持直す一方で、ウクライナ危機、インフレ加速に加え、主要貿易相手国である中国のロックダウンによる影響で製造業が悪化、先行き不透明感は強まる。ECB理事会は市場予想よりハト派的なスタンスを示したものの、足元では複数のECBメンバーから早ければ7月利上げを示唆する発言が相次ぎ、年内利上げ開始の可能性も高まる。ウクライナ危機に伴う経済ブロック化の影響から、景気悪化懸念が高まるが、仏大統領選では現職マクロン大統領が勝利、欧州の地政学リスクは幾分沈静化した。
・日本
3月の消費者物価指数は前年比1.2%と予想通りだったものの、携帯電話料金引下げ効果の剥落を考慮すると実質同2%超となり、4月以降が注目される。世界的な物価上昇の影響は日本にも及んでおり、円安効果と相まって2月の貿易収支は12ヶ月連続の赤字となった。円安は日本経済にプラスとしていた黒田日銀総裁も、「急激な円安は経済にマイナス」と軌道修正、改めて今週開催予定の日銀政策会合が注目される。足元で進行する物価上昇への不満を和らげるため、岸田政権はガソリン補助金の増額と低所得世帯向け給付金の支給などバラマキ型戦略で夏の参院選に備える。
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