日米欧経済

・米国

1-3月期のGDP成長率は前期比年率▲1.4%と前期の同6.9%から急減速。生産・消費は共に好調だったものの貿易赤字拡大と在庫減少が影響した形で内容的には悪くなかった。一方で3月の新築住宅販売はマイナス幅を拡大、4月のISM景況指数も製造業、非製造業ともに下振れるなど、好調だった米経済も足元では息切れの兆候が見られる。4月の非農業部門雇用者数は前月比42.8万人増と引続き高水準で、FRBは労働需給のひっ迫とインフレ抑制のため、予想通り0.5%の利上げとともに量的引締め開始を決定した。中間選挙を控えるバイデン政権は、供給制約緩和に向け対中戦略の見直しを視野に入れる。

・欧州

ユーロ圏1-3月期のGDP成長率は前年同期比5%と前期の同4.7%から上振れ、欧州経済は底堅さを示した。一方で3月の生産者物価上昇率が過去最高を更新する中で小売売上高は下振れるなど、ウクライナ情勢、インフレ加速に加え中国の景気減速の影響による欧州経済全体の停滞懸念が燻る。ECBはインフレ加速に警戒感を強めており、一部のメンバーは年内利上げを示唆。英中銀は0.25%の利上げを2会合連続で決定、政策金利を1.0%に引上げた。ロシアはポーランドとブルガリアへの天然ガス供給停止を通告、地政学リスクの顕在化に伴う経済ブロック化の加速が想定される。

・日本

3月の失業率、有効求人倍率は引続き改善傾向。3月の鉱工業生産は前月比0.3%と一部の自動車工場停止の影響から2月の同2%から減速したものの、半導体製造装置関連業が牽引した形で2ヶ月連続のプラス。個人消費も人流回復とともに改善基調で3月の小売業販売額は前年比0.9%と2月の▲0.9%からプラス転換。日銀は予想通り金融政策の現状維持を決定。注目のYCC見直しは先送り、国債指値オペの連続実施を明確化し、インフレ加速で金融引締めを急ぐ米国との違いが改めて際立った。

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