日米欧経済
・米国
4月小売売上高と鉱工業生産は底堅かったものの住宅関連は下振れ、5月連銀製造業指数もNY、フィラデルフィア地区ともに大幅低下となり、米経済は緩やかながらも減速基調に転じつつある。パウエルFRB議長は、インフレ抑制のため中立金利を超える利上げを示唆、米経済は力強く、軟着陸は可能とする。ウクライナ危機は長期化の様相を強めており、政府は経済制裁によるロシア弱体化路線を堅持、一方で供給網強化に向けインド太平洋経済枠組み(IPEF)の立ち上げに動き、貿易面から中国をけん制する。
・欧州
ユーロ圏3月の貿易収支は、エネルギー関連の輸入額増加に加え、主要貿易相手国中国の消費低迷の影響から過去最大の赤字となった。一方でユーロ圏1-3月期のGDP成長率(改定値)は5.1%と3四半期連続の改善、英1-3月期の失業率は3.7%と47年ぶりの低水準となるなど経済指標は意外に底堅い。ECB政策委員会議事要旨では、インフレ見通しを踏まえ一部の委員が早期の金融引き締めの必要性を主張する。ウクライナ危機を受けフィンランドとスウェーデンはNATO加盟を申請、難色を示すトルコを説得できれば早期の加盟が実現、危機及び経済制裁の長期化は避けられない。
・日本
1-3月期のGDP成長率はコロナ感染再拡大を受け年率▲1%と予想通りだったものの、マイナス幅は小幅にとどまった。経済活動再開により4-6月期は年率5%程度の成長が見込まれ、ようやくコロナ前のGDP水準回復が期待される。4月の貿易収支は、中国経済の減速と国際商品市況の高止まりの影響で11か月連続の赤字、一方で消費者物価上昇率は携帯料金引下げの影響がなくなり前年比2.5%まで上昇した。政府は参院選を控えガソリン補助金を25円から35円へ増額する一方、日銀はインフレは一時的として金融政策の変更は視野になく、両者の足並みに乱れが生じつつある。
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