日米欧経済
・米国
4月の消費者物価上昇率は前年比8.3%、生産者物価指数は同11%と引続き高水準ながらも3月からは減速。前月比で見ると両指数共に大きく低下しており、ようやくインフレにピークアウト感が出てきた。週次の新規失業保険申請件数は2週連続で悪化、ひっ迫していた労働需給にも緩和の兆しが見られる。過熱気味だった米経済も転換点を迎えつつあり、FRBメンバーからも0.75%幅の利上げには慎重な意見が相次ぐ。ウクライナ危機は長期化の様相を呈しており、米政府は経済制裁によるロシアの弱体化路線を堅持、一方で中間選挙を控え国民の反中感情を意識し中国の親ロシアの動きをけん制する。
・欧州
独の5月ZEW景況感調査は低水準ながらも上振れ、英1-3月期のGDP成長率も行動規制の緩和を受け個人消費が牽引し堅調だった。ウクライナ情勢、インフレ加速に加え中国の景気減速の影響による欧州全体の停滞懸念が燻るなか、経済指標は予想以上に安定している。ラガルドECB総裁は量的緩和策終了後、数週間以内の利上げもあり得ると発言、年内複数回の利上げの可能性も高まる。ウクライナ危機を受けフィンランドとスウェーデンはNATO加盟申請に踏み切った。欧州の地政学バランスは大きく変化することになり、エネルギーを含む欧州域内のサプライチェーンの再編、経済ブロック化の影響が懸念される。
・日本
3月の現金給与総額は前年比1.2%と3月の消費者物価上昇率1.2%と同レベルで、欧米と比べればインフレによる個人消費への悪影響は限定的。3月の景気指数も一致、先行とも2月から改善、4月の景気ウォッチャー調査も現状、先行きDIともに先月から上振れ50超となった。一方で、ウクライナ危機に伴う資源高により3月の貿易収支は大幅な赤字が続く。日銀による緩和政策維持もあり、円安基調に変化はない。参院選を控え、国民の関心が高い物価上昇への岸田政権の対応が注目される。
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