日米欧経済

・米国

5月の購買担当者指数は製造業、サービス業ともに下振れ、総合指数は4ヶ月ぶり低水準となった。4月の新築住宅販売も前月比▲16.6%と9年ぶり大幅減となり、住宅関連は住宅価格と金利の上昇の影響で減速基調だ。FOMC議事要旨では、インフレ抑制のため6,7月に0.5%の利上げを示唆する一方、その後の年内政策には経済の動向次第とし、市場が警戒していたほどタカ派ではなかった。バイデン大統領はインフレ抑制策の一環として、トランプ前政権による対中関税を緩和する方向での見直し検討を表明した。中間選挙を控え、国民の関心が高いインフレ対策と対中政策の運営にバランス感覚が求められる。

・欧州

ユーロ圏5月の総合購買担当者指数は下振れ、物価高で消費者の購買力が低下しサービス業指数が下落するとともに、製造業指数は引続き原材料不足の影響を受けた。ただし下落幅は小幅にとどまり、総合指数で米国を上回ることに加え、独5月のIFO企業景況感指数が予想外に上振れるなど、ウクライナ危機やインフレ加速を抱えながらも欧州景気は踏みとどまる。ラガルドECB総裁は9月までにマイナス金利脱却の可能性に言及、逆算すると7~9月に0.25%幅で2回の利上げが推測される。ウクライナ危機の長期化に伴い経済制裁のロシア国内への影響も顕在化してきており、ロシア世論の動向が気になる。

・日本

5月の購買担当者指数は、供給制約と価格上昇の影響で製造業が下振れたものの、人流回復を受けサービス業が回復、結果として総合指数も51.4と4月の51.1から上昇した。一方、物価関連では4月の企業向けサービス価格指数は加速したが、5月東京都区部消費者物価指数は、政府によるガソリン補助金の影響もあり前年比上昇率は横ばいとなった。政府は6月から入国者上限を1日2万人に引上げ、外国人観光客の受け入れ制限の緩和を発表、円安を生かしたインバウンドによる景気回復を狙う。

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