日米欧経済
・米国
6月の消費者物価指数は1981年以来の高水準、生産者物価指数も過去最高だった3月に迫る勢いでインフレが止まらない。但しコア指数は前年比でともに5月から減速しており、雇用統計における平均時給の伸び鈍化も含め、インフレにピークアウトの兆しが見られる。今月のFOMCでは前月に続き大幅な利上げが見込まれ、FRB高官は0.75%の利上げを示唆。バイデン大統領はサウジを訪問、中間選挙を控え米国民の不満が集中するインフレ対策として、原油の増産を要請した。
・欧州
ユーロ圏5月の鉱工業生産は前月から上昇幅を拡大、供給制約の緩和により自動車など輸送機器が牽引した。一方、独の7月ZEW景況感調査は大幅悪化し、2011年の債務危機以来の低水準となった。またロシアからの天然ガス供給パイプラインノルドストリームが点検を理由に停止、冬場に向けてエネルギー供給がさらにひっ迫するリスクが出てきた。インフレ加速を受け、今週のECB理事会では0.25%以上の利上げが予想され、実現すれば11年ぶり。伊では主要与党からの不信任を受けドラギ首相が辞意を表明、英国のジョンソン首相辞任、仏では下院選での与党敗北と欧州内での政局不安が高まる。
・日本
6月の国内企業物価はエネルギー価格の上昇と円安効果により3ヶ月連続で過去最高を更新、前年比上昇率は9%台と高水準が続く。一方で2%台の消費者物価との乖離は高水準となり、価格転嫁の遅れから企業業績の悪化が懸念される。日銀は消費者物価の上昇は一時的としており、今週の日銀政策会合では金融政策の現状維持が想定される。新型コロナの1日当たり感染者数が過去最高を更新したが、消費活動の回復を狙い政府は行動制限を行わない方針。参院選は与党の勝利に終わり、今後は岸田政権の政策実行力が問われる局面になることから、新たな党役員・閣僚人事が気になる。
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