日米欧経済

・米国

7月のISM景況指数は製造業、非製造業ともに予想対比上振れ、特に非製造業は景気減速への懸念が和らぎ3ヶ月ぶり高水準となった。雇用統計では非農業部門雇用者数が前月から大きく上振れ、平均時給も前月比0.5%増と加速し、インフレのピークアウトは未だ見通せない。Fedは、FRB高官の相次ぐタカ派的発言により、FOMC後の急速な金利低下に対しくぎを刺した。ペロシ下院議長は台湾訪問を断行、中間選挙を控え、外交面の動きが活発化する中、対中・対ロシアを軸に再び冷戦時代への流れが加速する。

・欧州

ユーロ圏6月の小売売上高は下振れ、暖房需要でエネルギー価格高騰の影響が家計を直撃する冬にかけて、今後物価高は家計の購買力をさらに圧迫すると思われる。一方、4-6月期GDPが示したように欧州景気全般は底堅く、通貨ユーロ安にも支えられ、アフターコロナの観光需要がサービス業を中心に経済を下支える。英中銀は予想通り政策金利を0.5%引上げ1.75%とした。利上げは6会合連続。国連とトルコの仲介により、ウクライナの穀物船がロシア侵攻後初めて出港した。トルコは米・ロシア間のパイプ役を果たすが、対ロシア取引の迂回拠点となっており、結果的にウクライナ危機の長期化に繋がる。

・日本

6月の現金給与総額は上振れ、足元の6月消費者物価上昇率2.4%と並ぶレベルで、欧米に比べて国民の実感するインフレは緩和されている。一方、6月の景気一致指数は上振れたものの、沈静化の目途が立たない新型コロナ感染拡大の影響を反映し先行指数は下振れた。米中の対立が深まる中、経済面で中国とのつながりが深く、地理的にも近い日本がパイプ役を果たせるか、外交面の動きが注目される。岸田首相は支持率低下を受け、内閣改造、党役員人事見直しを8月10日へ前倒すと発表、新布陣次第で政府の政策実行力が問われることになる。

0コメント

  • 1000 / 1000