日米欧経済

・米国

7月の鉱工業生産は自動車関連の急回復により前月比0.6%と6月の同▲0.2%から改善。一方、小売売上高はガソリン価格低下の影響で下振れ、住宅関連も価格とローン金利上昇の影響で低迷するなど、米経済指標はまだら模様。FOMC議事要旨では「累積的な利上げの影響を検証した上で、将来利上げペースの減速が必要」とパウエルFRB議長の発言に沿う内容が示されたものの、FRB高官は9月も0.75%の大幅利上げの可能性に言及、タカ派姿勢が続く。バイデン政権は気候変動対策や企業増税を含むインフレ抑制法案を成立させ、中間選挙を控え低迷が続いた民主党支持率は共和党と拮抗するまでに回復した。

・欧州

ユーロ圏4-6月期のGDP成長率は速報値の年率2.8%から2.5%へ下方修正、独8月のZEW景況感調査も悪化した。加えて主要貿易相手である中国の7月鉱工業生産や小売売上高も下振れ、加速するインフレも英7月の消費者物価上昇率が40年ぶりの2桁台となるなど、欧州経済の先行きには暗雲が垂れ込める。ウクライナ情勢はクリミア半島も含め戦域拡大の動きもあり、紛争長期化のリスクが高まる。英・伊では次期首相選を控え、英ではジョンソン首相後継の色が濃いトラス外相がリード、伊では極右政権誕生のリスクが燻るなど、欧州政局は当面不安定な状況が続く。

・日本

4-6月期GDP成長率は年率2.2%と改善、1-3月期成長率も年率0.1%とプラス圏へ上方修正され、ひとまずテクニカルリセッション入りのリスクは遠のいた。7月消費者物価上昇率は前年比2.6%へと加速、電気代などのエネルギー、食料品の上昇が継続する。日銀は金融緩和維持の方針だが、物価上昇が長期化すれば、欧米同様、コロナ対応などで支持率低下に悩む政府から政策変更の圧力が強まることが予想される。

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