日米欧経済

・米国

8月のISM非製造業景況指数は4か月ぶりの高水準となり、製造業指数ともども堅調、米経済は意外と底堅いとの見方が広がる。一方、ドル高の影響もあり7月の貿易収支は赤字幅が4か月連続で縮小、昨年10月以来の低水準となった。FRB幹部からはタカ派的発言が相次ぐが、地区連銀経済報告では12のうち9地区では物価上昇ペースが鈍化しつつあるとし、物価上昇は6月がピークとなった可能性もある。11月の中間選挙を控え、バイデン政権はインフレ沈静化を追い風に支持率を高める。

・欧州

独7月の鉱工業生産は前月比でマイナスに落ち込み、物価高とエネルギー問題を抱える欧州の製造業は厳しい状況。一方でユーロ圏8月の小売売上高は前月比でプラスに転換、4-6月期GDP成長率確定値も上方修正された。海外旅行を含むリベンジ消費の影響で個人消費が伸びており、サービス業が欧州経済を支える。ECBは政策金利を0.75%引き上げ、利上げは2会合連続となり、さらに10月の大幅利上げ継続を示唆した。英トラス新首相は、公約通りエネルギー価格高騰対策として約25兆円の支援を発表、また伊の総選挙では英国同様、財政拡大を掲げる右派が支持を集め、債務問題の拡大が懸念される。

・日本

7 月の景気一致指数、8月の景気ウォッチャー調査は上振れ、4-6月期GDP成長率の改定値も設備投資と個人消費の上方修正を受け改善した。物価に直結する7月の現金給与総額は前年比で減速したものの、潜在成長率を上回る伸びを示す。一方、原油などエネルギー価格の高騰に円安の影響も重なり7月の経常収支(季調済)はマイナスに転落、さらなる円安、それに伴う物価上昇が懸念される。政府は日銀との会合を開き「必要な対策をとる」と発表したものの、円売りに歯止めはかからず、今後は為替介入或いは日銀の政策変更に注目が集まる。

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