補助金天国日本

我が家の旅行・レジャーのコーディネイトは妻が担当している。家族旅行や子供の帰省に伴う航空券やホテルの選定・予約まで彼女が行っており、毎回その選別眼とどん欲なまでのコスト意識には脱帽させられる。因みに、足元でスタートした全国旅行支援(全国旅行割)なども彼女にとっては恰好の道具のようで、先日の旅行でも余すところなくその実力を発揮、詳細は不明だが宿泊代はほぼゼロを実現したようだ。

 さて、世の中でもこの補助金を利用して旅行する人は増加中で、航空券や鉄道切符の販売は好調。特にホテルは実際に宿泊しない客も含め、予約で満室というところが増えているようだ。ところで日本はアジアで訪れたい国No.1と言われ、折からの円安も追い風となり、旅行業界は大きな期待を持って海外観光客受入れをスタート。それが足元ではこの全国旅行割とバッティングすることとなり、満室を理由に日本行きを断念する海外旅行客が増加中らしい。本来は補助金に頼る全国旅行割より、正規料金に近しい金額を支払い、加えてインバウンド消費も期待できる海外観光客を優先すべきではないかとの疑問がわく。

表1. 海外旅行先として行きたい国ランキング        出所(日本交通公社)

1位 2位 3位 4位 5位

アジア居住者 日本 韓国 台湾 オーストラリア タイ

欧米豪居住者 日本 アメリカ オーストラリア カナダ イギリス

最近の日本では、各種補助金や給付金が氾濫しており、円安と原油価格上昇への対策としてガソリン補助金は延長を繰り返し、結果として本来価格高騰を受け控えるはずのガソリン消費は減らず、円安も手伝い貿易赤字は拡大。同時にガソリン車からEVへのシフトも進まず、日本の自動車会社とインフラはEV関連で世界の後塵を拝す。

さらに補助金を含む弱者救済を謳う政策の弊害として、所謂ゾンビ企業への支援により競合する正常企業の収益が悪化、新たなゾンビ企業が誕生ともなれば税収減をさらに助長する。また高齢者への手厚い年金や医療、介護費用負担の増加を現役世代へ押しつけ続けたことにより、若者の可処分所得は年々減少。子供を持たない理由として7割が家計の負担増を挙げ、結果として将来の社会保障の担い手も減少するなど、日本の問題とされる成長率低下と少子高齢化を結果的に加速させる政策が目立つ。また、足元では補助金の不正受給が問題となり、給付手続きの厳格化のための審査体制の強化など、補助金政策に伴う人件費を含む経費の増加も懸念されるところ。

 ここ数年、政府は新型コロナ対策と銘打ち補助金の大盤振る舞いを続けているが、日本の財政事情は税収65兆円に対し、支出は社会保障関連(40兆円)、国債費(20兆円)、地方交付税(15兆円)だけですでに75兆円と赤字。急速に増加する政府借金はGDP対比250%超と、むやみにばらまく余裕はない。

仮に補助金政策を続けたいのであれば、米中のようにEV化や次世代エネルギー開発など、将来の経済発展につながる項目に集中させるべきだろう。少なくとも現下のガソリン補助金などのエネルギー負担軽減策約6兆円に対し、EV化促進や自然エネルギーによる発電などを含む、令和5年度のエネルギー対策特別会計にかかる予算要求額2,433億円ではバランスが悪い印象は否めない。  

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