日米欧経済

・米国

3ヶ月連続で前月比マイナスとなった11月の住宅着工件数や同10ヶ月連続の中古住宅販売など、金利と価格上昇の影響で住宅関連指標は不調が続く。一方、個人消費と企業の設備投資が上振れた影響で7-9月期のGDP成長率確定値は年率2.9%から同3.2%へと大幅上方修正となった。FRB高官の相次ぐタカ派発言を裏付ける経済指標を受け、利上げ長期化の思惑が広がる。議会は2023年度の歳出法案を可決、政府機関の閉鎖は回避された。1月からはねじれ議会がスタート、政策運営の停滞が懸念される。

・欧州

ユーロ圏12月の消費者信頼感および独12月のIfo景況感や1月の消費者信頼感は前月から改善、エネルギー価格の上昇一服や通貨ユーロの反発を反映し、消費者心理は上向きつつある。主要貿易相手国の中国は感染再拡大が見られる中、規制緩和姿勢は維持しており輸出減の懸念は後退した。複数のECB高官は利上げ幅縮小が金融引締め局面の早期終了を意味しないとタカ派的姿勢を堅持、市場の過度な織り込みに釘を刺す。ウクライナのゼレンスキー大統領は訪米、西側の支援強化を要請、一方のロシアはミサイルなど兵器の枯渇リスクが高まっており、戦闘の長期化はウクライナに有利に働く可能性が高い。

・日本

11月の消費者物価指数は食料品価格上昇の影響などで約41年ぶりの高水準。為替の円高反転や原油価格下落はインフレ対策補助金の減少に相殺される形となり、年明け以降も物価上昇は続きそう。日銀は政策決定会合で長短金利操作(YCC)における長期金利の変動幅を±0.25%程度から±0.5%程度に拡大。政策修正は予想外であり、黒田総裁は金融緩和策の変更ではないとしたものの、市場は政策変更の第一歩と評価。欧米市場では「世界の債券市場のアンカー(金利を低く留める錨)が解除された」との受け止めが広がった。政府は2023年度予算案を決定、規模は過去最大となる上、引続き国債への依存度は高く、金利上昇に伴う財政負担拡大が懸念される。

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