日米欧経済

・米国

12月のシカゴ購買部協会景気指数は上振れた一方、ISM景況感指数は製造業、非製造業ともに50割れとなるなど経済指標は強弱まちまち。12月の雇用統計では失業率は低下、非農業部門雇用者数は前月比22.3万人増と雇用の伸びは維持されたが、平均時給は前年比4.6%と下振れ、粘着質な賃金インフレは減速に向かう。FRB高官はタカ派発言を繰返し、市場の年内利下げ観測の修正を迫る。下院議長選では共和党のマッカーシー院内総務が15回目の投票でようやく選出された。上下両院のねじれ議会に加え、党内対立から議会運営の機能不全リスクが高まる。

・欧州

ユーロ圏および独、仏の12月の消費者物価指数は揃って前月から前年比で減速、欧州のインフレもようやくピークを打ちつつある。暖冬の影響でガス先物価格が2021年以来の安値となるなどエネルギー価格の上昇一服や通貨ユーロ反発の影響が出た。ユーロ圏12月の小売売上高は前月比プラスに転換、12月の景況感も改善しており、欧州経済は底堅さを見せる。ウクライナ紛争ではロシアが一方的に停戦を提案、結局戦闘は続いたがロシアの戦略に狂いが生じている可能性もある。

・日本

12月の消費者態度指数は4ケ月ぶりに改善、3年ぶりの行動制限がない年末年始を控え消費者心理は改善した。一方、11月の勤労統計では現金給与総額が前年比0.5%と10月の同1.4%から減速、3%を超えて加速する物価上昇に大きく後れをとる。春闘での物価上昇率を上回る賃上げが期待される。新年最初の10年国債入札では最高落札利回りが0.5%と日銀の長短金利操作(YCC)の金利上限に再び張り付く形となり、市場は次回会合でのさらなる政策変更を催促する。岸田首相は1月からG7議長国を務める準備として欧米5カ国歴訪へ、外交面での存在感をアピールすることで支持率の回復を狙う。

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