日米欧経済
・米国
2月のリッチモンド連銀製造業指数、シカゴ購買部協会指数、ISM製造業景気指数等の製造業関連指標は弱含んだものの、ISM非製造業景気指数は堅調を維持、消費関連が景気を支える。一方、ISM指数の仕入価格や10-12月期単位労働コストは予想対比上振れ、引続き米経済には物価上昇圧力がかかる。FRB高官からはタカ派的発言が相次ぎ、市場ではターミナルレートの引上げ観測も出るなど早期の緩和期待は後退した。バイデン政権はウクライナ紛争における中国による対ロシア支援の阻止へ圧力を強める一方、ウイグル族の弾圧を理由に中国企業への輸出規制を強化、米中関係の悪化が懸念される。
・欧州
ユーロ圏2月の消費者物価指数は4ヶ月連続で前年比減速となったものの、財とサービス価格が伸びコア指数は3ヶ月連続で過去最高を更新、欧州のインフレ圧力は根強い。ECBは予定通り3/1から保有資産の削減を開始したが、足元の物価動向を踏まえると今後の利上げ幅は50bpを継続、利上げのゴールは遠退く可能性が高まる。G20外相会合ではウクライナを巡る対立が解けず、共同声明の発表は見送られた。反グローバル化の流れが強まり、サプライチェーン分断等による経済への悪影響が懸念される。
・日本
1月の鉱工業生産は自動車関連の落込みから前月比マイナスとなった一方、小売売上高はインバウンドの影響もあり前月比1.9%と1月の同1.1%からさらに加速、製造業に代わりサービス業が日本経済を支える。2月の東京都区部消費者物価指数は前年比で1月の4.4%から1%減速、政府による全国旅行支援、ガソリン補助金に加え、新たに電気・ガス料金の抑制策が加わり物価を押し下げた。一方で政策要因を除いたインフレ圧力の高止まりは続く。黒田日銀総裁による最後の政策会合を控え、市場では現状維持の予想が多いものの、新体制下での政策変更による混乱回避のため緩和策の修正に動く可能性も残る。
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