日米欧経済
・米国
2月の雇用統計では非農業部門雇用者数は予想通り1月から減少したものの引続き高水準、一方で失業率は上昇、平均時給は前月比0.2%と減速、雇用を通じた粘着質なインフレ圧力には鈍化がみられる。パウエルFRB議長は先週初の議会証言で、新たな統計を加えた経済データ次第で利上げペースの再加速とターミナルレート引上げの可能性があると発言、今週発表のCPIに注目が集まる。バイデン政権は富裕層および法人への増税を財源とした10年間で3兆ドルの財政赤字削減を含む予算教書を公表。新興企業向け融資大手シリコンバレー銀行が破綻、総資産規模は米史上2番目として警戒感が広まる。
・欧州
ユーロ圏10-12月期のGDP成長率確報値は前期比▲0%と速報0.1%から下方修正、7四半期ぶりのマイナス成長となった。一方、ユーロ圏1月の小売売上高および独1月の鉱工業生産は改善基調を維持、欧州経済は粘り腰を示す。2月のインフレ率は前年比8.5%と高止まりの一方、ECBが公表した3年先のインフレ見通しは12月の3%から2.5%へと下方修正。理事会メンバーからはタカ派発言が相次ぐ中、今週のECB理事会では0.5%利上げが想定される。ウクライナ情勢は東部でロシアの攻撃が強まる一方、ウクライナは欧米支援で入手した戦車を配備、この春にも大規模な反転攻勢に出るとの見方もある。
・日本
1月の季調前経常収支は貿易赤字が3.2兆円と過去最大となったことで単月では過去最大の赤字となった。10-12月期のGDP成長率改定値は年率0.1%と速報値0.6%から下方修正され、ほぼゼロ成長。1月の現金給与総額も前年比0.8%と12月の4.4%から大きく下振れた一方で、物価は高進しており実質賃金は▲4.1%と8年8ヶ月ぶりの低水準。黒田総裁下の最後の日銀政策会合は、市場予想通り政策の現状維持を決定、異次元緩和からの出口戦略は植田新体制にゆだねる形となった。
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