日米欧経済

・米国

3月のISM景況感は製造業、非製造業ともに下振れるなど経済指標は景気減速を示唆する。堅調だった労働市場も3月の雇用統計で非農業部門雇用者数が2月から減少、平均時給も前年比4.2%と減速、賃金上昇の影響で高止まりが続くインフレにも沈静化の兆しが見える。SVB破綻で生じた信用不安の連鎖は官民一体の迅速な対応で峠を越え、改めてFRB高官のタカ派発言が目立つものの、市場はリセッション懸念とインフレ減速を見越して年内の早期利下げを織り込む。

・欧州

独2月の製造業受注および鉱工業生産はともに予想対比上振れ前月比プラスを維持、欧州経済のけん引役が復活しつつある。背景にはアジア圏経済がコロナ禍からの正常化過程にあり消費活動が活発化したことや供給制約の緩和により主要産業である自動車が伸びたことがある。一方でユーロ圏2月の卸売物価指数は1月から減速したものの依然として高水準、高止まるインフレを受けECBによる利上げ継続が見込まれる。マクロン仏大統領はEU委員長とともに中国を訪問、長期化するウクライナ紛争の仲介役を期待するなど、対立が続く米国とは異なる対中外交に動く。

・日本

2月の景気動向指数は一致、先行ともに改善、半導体需給の改善から自動車生産が伸び、一致指数の上昇は6ヶ月ぶり。また家計調査による消費支出は4ヶ月ぶりに前年比でプラスとなり、景気はコロナ禍前に向け徐々に回復しつつある。現金給与総額は前年比1.1%と前月から上振れたものの、消費者物価の高止まりから実質賃金は▲1.6%と11ケ月連続で減少。一方で春闘による賃上げ率は平均3.7%と30年振りの高水準になった模様で、今後の実質賃金上昇が期待される。今週から日銀は植田新総裁体制が始動、早期の金融政策の変更を市場は織り込む。

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